アニメ「鬼滅の刃」でも使われた毛筆書体 亡き父の字を後世に…フォントに込められた「昭和」への思い 鹿児島
「平成」の時代に「昭和」を掲げて、64の書体を書き上げた栄泉さんは、3年前の令和4年、腎臓の病気で亡くなりました。 (昭和書体 坂口茂樹会長)「親父の場合は文字を書いているのではなくて、文字という絵を描く。見た時にかっこいいようにって。「毛筆書体だけは書き手がいなくなっても、いなくなったら、なおのこと必要とされるのではないか」 宮崎県延岡市に栄泉さんの思いを継ぐ書家がいます。西村一華さん、57歳です。 書家として制作活動を続けながら、週5日、幼稚園児から大人までが通う書道教室を開いています。 (生徒)「とても元気、おちゃめ」 (生徒)「教えるときに、ぐんっていって、ぴょんってやるんだよとか、擬音が多くておもしろい」 デジタルの世界でも毛筆の温かさを伝えたいと、7000字のフォント制作に挑戦しました。1年2か月かけて、去年8月、「華龍書体」が完成。現在、第2弾に取りかかっています。 (書家・西村一華さん)「試行錯誤しながら、この中にどんな風に入れたらいいのかなって。(栄泉さんを)映像でしか見ていないが、書く時の姿勢や目、雰囲気が、本当に(書くことが)好きなのが伝わるし、文字に対しての敬意や愛情のようなものを感じる。たくさんの種類を書かれたことは、本当に素晴らしいことだと思う」 フォント事業を始めて20年目となる昭和書体。今、力を入れるのは、海外への発信です。英単語を選ぶと、その意味を持つ日本語に変換したフォントが出てくる商品を作りました。 「さつま町から世界へ」。毛筆の奥深さを伝え、書家の技術を残そうと挑戦は続きます。 (昭和書体 坂口茂樹会長)「あの時代を生きた人が今を作っている。あの人、昭和だよねって言うのは古い意味ではなく、懐かしいとか気持ちいいとかプラスな話でマイナスな言葉ではない。懐かしいふるさとみたいな昭和を、令和の昭和を作っていきたい、残していきたい」 昭和の息づかいを一字一字に込めて。時代に合わせた形で伝え続けます。
南日本放送