リアルなカラスのぬいぐるみ、なぜ人気? 生物園が「攻めたお土産」をそろえた理由
珍しいぬいぐるみ、さなぎや抜け殻も
ショップの人気の秘密は、グッズのユニークさにあります。 ぬいぐるみコーナーに並ぶのは、カラフルな羽根と笑い声が特徴的なワライカワセミや、世界最大の淡水魚ピラルクなど、一風変わった動物のぬいぐるみ。 「かわいいの、それ?ママ、ちょっと苦手だなあ……」 売り場の隅で、3歳の長男にぬいぐるみをねだられた女性(31)が、少し困ったような表情を浮かべています。 男の子が手に持っているのは、名前の通り、真っ赤な目が特徴的なアカメアマガエルのぬいぐるみ。 「かわいいよ、これ。よしよしして?」 男の子はぬいぐるみの魅力をアピールしますが、女性はたじたじという様子でした。 カエルやヘビなどの少し変わったラインナップは、店頭に並べるぬいぐるみを選ぶ際の、綱島さんのあるこだわりが理由です。 ピラルクやワライカワセミのように園内にいる生き物、またはカラスのように観察しやすい身近な生き物であること。 そして、かわいさがありながらも、その生き物の特徴をリアルに再現していること。 市販のぬいぐるみの中から、条件を満たしているものを厳選し、店頭に並べているそうです。 鱗の模様や足の形など、どれも本物が持つ特徴をよく表現しています。 ぬいぐるみコーナーの隣には、園内で脱皮したヘビの抜け殻や、羽化した後のチョウのサナギなどが透明な瓶に入った状態で売られています。 「これまで職員が集めていたのですが、もったいないな、何かに使えないかなと考えて、販売してみることにしました。園内での体験や気づきを、家に持ち帰ることができるようなお土産になればいいなと思ったんです」
いつかはオリジナルのぬいぐるみを
ショップには、地元企業の協力を得て製作した園オリジナルのキーホルダーやTシャツなども並びます。 「ぬいぐるみも園オリジナルのものがあるといいんですが……」 ぬいぐるみの場合、少数ロットでの生産が難しいのと、園側でまとまった在庫を保管する場所が無いのが課題だそうです。 「でも、いつかは園オリジナルのぬいぐるみを作りたいと思っています」 園に就職する前は、大学院で海洋プランクトンの研究をしていたという綱島さん。 子どもや家族連れが多く訪れる生物園で、来園者に生き物の魅力や自然環境の貴重さを伝えていきたいと語ります。 「園にいるのはモルモットなどの身近な生き物から、オオサンショウウオなど絶滅のリスクがある珍しい生き物まで様々です。かわいいぬいぐるみや変わったお土産をきっかけに、彼らに興味を持ってもらえたらうれしいです」