【韓国】現代モービスが欧州に新工場 スロバキアで電動化部品を生産
韓国完成車大手・現代自動車グループの自動車部品メーカー、現代モービスは16日、スロバキアに電気自動車(EV)向けモーター部品の「パワー・エレクトリック(PE)システム」を生産する新工場を建設すると発表した。グループ系列の起亜や独フォルクスワーゲン(VW)、英ジャガー・ランドローバーといった大手完成車メーカーが拠点を構えるスロバキアにEV部品の新工場を設け、欧州の電動化需要を取り込みたい考えだ。 現代モービスは15日(現地時間)に、スロバキア政府と新工場建設に向けた協約を締結。約2,500億ウォン(約274億円)を投じて、同国西部ノバキのサッカーコート14面に相当する約10万5,700平方メートルの敷地にPEシステム工場を建設する。2025年下半期の完成を予定しており、年間30万台分のPEシステムを生産する計画だ。 PEシステムは、EV用の減速機とインバーターを一体化して小型化した同社独自のEV用モーター部品。現代自グループのEV専用プラットフォーム(車台)「E―GMP」向けに開発されたもので、部品間のエネルギー伝達の損失を減らしEVの性能向上が見込める。また、広い車内空間の確保や車体重量の削減が可能になるという。 スロバキアには起亜のほか、VWや欧米自動車大手のステランティス、ジャガー・ランドローバーなど世界の完成車メーカーが拠点を構えるほか、スウェーデンのボルボもEV専用工場を建設中だ。現代モービスはノバキ工場でPEシステムを生産し、世界の完成車メーカーへの供給を目指す。欧州は中国に次いで2番目に大きいEV市場に成長しつつあるため、商機は十分にあると見込んでいる。 協約の場に出席した現代モービスの李奎鍚(イ・ギュソク)社長は「スロバキア政府の支援の下、ノバキ地域に建設するPEシステムの新工場を中心に欧州中部地域で電動化事業のビジネスチャンスを拡大していく」との抱負を語った。 現代モービスは04年にスロバキア法人のMSKを設立し、同国北西のジリナに工場を持つ。ジリナ工場にも約950億ウォンの追加投資を行い、ブレーキシステムとエアバッグの新工場を建設する計画だ。 ■欧州3カ所目の電動化拠点 スロバキア・ノバキに建設する新工場は、現代モービスにとって欧州で3カ所目の電動化拠点となる。同社はチェコで、バッテリーがEVで安全に作動するようバッテリーパックに制御装置などの電装部品を組み合わせたバッテリーシステム(BSA)を生産している。 今年4月には、スペインでも26年の量産を目標にBSA工場を着工した。同工場で生産したBSAはスペイン・パンプローナに位置するVWの工場に供給され、同社の次世代EVに搭載される予定だ。 現代モービスは現在、欧州のほか、中国やインドネシアでBSAの生産を行っており、北米では年内の稼働をめどにBSAとPEシステムの生産工場を建設している。 同社は今月14日から20日(現地時間)までの日程でフランス・パリで開催中の自動車展示会「2024パリモーターショー」に参加するなど、海外の受注拡大に向けて力を入れている。23年の海外受注額は、過去最高となる前年比98%増の12兆ウォンを達成した。