<全員野球・センバツ23・社>足跡/中 課題、徹底的に話し合う 最大限に鍛えた思考力 /兵庫
秋季県大会3位決定戦の育英戦で見せた社の試合終盤での粘り強さや集中打は、山本巧監督(50)が練習に取り入れたチーム全員でより良い意見を出し合うブレーンストーミングとメンタルトレーニングで鍛え上げられたものだ。 これらのトレーニングは2020年の秋季県大会3回戦で、神戸国際大付との延長戦の末、敗れたことがきっかけとなった。当時、漠然とした気持ちで試合に臨んでいた選手たちに思考力や判断力、それに伴う行動力を付けてもらうために導入した。 ブレーンストーミングではプレーについて徹底的に考える。例えば、早く走るためベースを右足で踏んでいるが、遠心力がかかる場合がある。「走者が二塁と三塁を結ぶライン上にいる場合、三塁の手前でレフト側にふくらんで減速し、右足で踏むことができる」という発想が生まれた。それを原則として練習しながら、試合では局面で判断する。また、メンタルトレーニングは、外部から専門のトレーナーを招き、ピンチをチャンスに捉える考え方などを養い、能力を最大限に発揮することを目指す。 育英戦では、二塁走者をおいて相手に中前打を放たれた際、中堅手の山本彪真(2年)は打球の勢いを見て走者が本塁に還れないと判断。三塁に送球して挟殺を図った。また、藤井竜之介(同)は「たびたびマウンドに集まって『よっしゃー』と言いながら、指で『1番』のポーズを取る。負けていても相手に向かっていくぞという気持ちになる」と試合での精神面の強さを語る。 育英を破り、近畿大会の出場を決めた選手たちは初戦の天理(奈良1位)との試合までの約2週間、どのように戦うかを毎日約2時間徹底的に話し合い、研究を続けた。【喜田奈那】 〔神戸版〕