実は「満タン法」より正確!? メーター表示の燃費や航続距離はどこまで信じられるのか?
ガソリンスタンドの機器、車体の傾きによる差も満タン法は影響を受ける
こうした話をすると「やっぱり満タン法のほうが正確じゃないのか?」と思いたくなるかもしれないが、そもそもオドメーターのズレというのは満タン法でも避けられない要素である。まして、常に同条件で満タンにすることは不可能に近い。 燃費を競うモータースポーツのようにメスシリンダーを使って燃料を計測するような仕組みであるならまだしも、街中のガソリンスタンドの給油装置を利用している限りは、そうした精度は期待できない。 たとえばガソリンスタンドの路面が傾いていれば、自動ストップ機能の作動するポイントもズレるだろう。筆者の経験でいえば、同じガソリンスタンドの同じ機械であっても、車両の向きを変えるだけで自動ストップ機能の作動ポイントが変わったこともあった。 自動ストップ機能自体がノズル先端の穴を燃料が塞いだかどうかで検知しているという仕組みからすると、そこまでの精度を求めるのは酷だろう。 キャブレターのエンジンではリアルタイムの燃料噴射量はわからないため燃費を知るには満タン法しかないともいえるが、電子制御インジェクションのエンジンであれば、少ない誤差でリアルタイムの燃費を示すのが、いまどきのメーターといえる。不確定要素の多い満タン法よりも精度が高いと考えるのが妥当だ。 なお、航続可能距離については、非常に甘い計算をしている印象があるだろう。航続可能距離が0kmになってからもまだまだ走行可能になっていることも多い。このあたりは、燃料残量のエンプティ表示と同じく、ガス欠による危険性を考慮して早めに給油するよう促すような設計になっていると理解すべきだろう。 レポート●山本晋也 編集●上野茂岐