新NISAは投資のきっかけに大いに貢献しているが、今後の拡大には知識の普及と賃上げも必要
一方、一般NISAの利用者(1520人)に新NISAで投資額を増やす意向があるかを調べたところ、多くの人が従前の投資額を維持する一方で、650人(43%)が新NISAで投資額を増やす意向にあることがわかった。中でも従来NISAで上限額120万円を投資している人の約4割(42%)が新NISAで上限の360万円まで投資を計画していることが目立った。
また、新NISAで投資額を増やす人の内訳は、男性の方が増やす人の割合は高い(54%、女性は45%)が、男女ともに30代が最も増やす人の比率が高くなっている。そして、投資額を増やす人は「賃金が上がった」人が56%で、賃金が下がった人(45%)よりも明らかに前向きで、金融知識との関係でも「もともと詳しかったがさらに詳しくなった」人は67%で、「あまり詳しくなかったし、今も詳しくない」の36%よりもより積極的だった。賃金が上がり、金融知識が増えるほどに投資に積極的になる傾向がある。
新NISAに投資するお金の財源については、7割超が「給与、ボーナスなど、これから稼ぐお金」という回答だったが、「預貯金口座で貯蓄しているお金」を新NISAにシフトする人も4割弱いた。高齢層や高所得層では預貯金口座から新NISAにシフトするという回答が43%となり、「貯蓄から投資へ」の動きが進んでいることがわかった。
なお、新NISA口座を開設した金融機関のタイプでは「ネット証券・銀行」が75%と圧倒し、「対面証券」が8%、「大手銀行・信託」が7%、「地方銀行」が3%という比率だった。年収別では「2000万円以上」では「ネット証券・銀行」は60%に低下し、「対面証券」が16%、「大手銀行・信託銀行」が13%と増える。金融機関を選択した理由は、「旧NISA口座を保有」というのが5割でトップだったが、次いで「売買手数料が安い」が入った。浦田氏は、「対面証券や銀行の相談機能を使いたいというニーズは着実にあると考えられるが、新NISAの口座は1つの金融機関にしか開設できないという規制がある限り、品揃えが多く手数料が低いネット証券・銀行が選ばれる傾向は続くと考えられる。マイナンバーが普及している現状では複数の金融機関に口座を認めても良いと考える。そうすれば、対面証券や銀行の利用は増えるだろう」と語っていた。
一方、金融教育については、特に非正規雇用者について職場での教育機会が限られていることは課題と指摘していた。また、浦田氏はZ世代に向けた金融教育について、「結婚、子育て、住宅取得など、従来型の直線的なライフプランで教育しようという考えはZ世代には受け入れてもらえない。現在のマネー教育は『具体的な話がなく、自分にあてはめにくい』点に不満がある。日本では、具体的な投資先について話をすることに強い抵抗があるが、資産運用立国をめざすという投資の普及を考えるのであれば、投資アドバイスにまで踏み込んだ教育のあり方について議論していく必要があるのではないか」と語っていた。
ウエルスアドバイザー