スターリンク衛星とスマホの直接通信が実現!「固定回線」が不要な未来が来る?
スマホとスターリンク衛星の通信においては、もともとKDDIが持っていた電波をスターリンクで使えるよう総務省に申請し、それを同省が受理したことで大きく前進。 加えてスマホとの直接通信用のスターリンク衛星は、通常のスターリンク衛星よりもさらに低軌道を飛行。ちなみに2024年10月に行われたスマホと衛星の直接通信の実証実験の際には、実験地の久米島の上空を、1時間に15機もの衛星が飛行したとのことです。
衛星インターネットの普及で「固定回線」は不要になる?
2024年に行われたKDDIの実証実験で行われたのは「SMSの送受信」でした。つまり音声通話やデータの送受信などは「順次対応予定」の状況です。そのため個人ユーザーにとっては、スターリンク衛星とスマホの直接通信の恩恵を「即時」に感じることは難しいかもしれません。 少なくとも2024年時点においては、衛星インターネットは「通信会社」のインフラ整備・強化の役割が大きいでしょう。特に地理的条件により、光ファイバーケーブルが引き込みにくい基地局の通信インフラの整備・強化に衛星インターネットが使えるようになったというのは大きなポイント。なお、KDDIは今後全国1,200カ所~を対象に、順次導入を予定しています。 そして、個人ユーザーを対象とした「スマホと衛星の直接通信」については、KDDIは2024年内を目途に開始予定としています。また楽天モバイルはASTの低軌道衛星を用いて、2026年に開始を目指しているとのこと。 そして楽天モバイルは同サービスにおいて、YouTube動画が再生できる程度の速度を目指すとしています。SMSの送受信だけでなく、データの送受信やYouTube動画の再生などが可能になれば、衛星インターネットは自然災害や、それに伴う通信障害発生時の新たな「通信インフラ」になり得るでしょう。そしてその通信インフラが、アンテナ不要で利用できることは極めて大きな進歩です。 データの送受信や動画再生など、ある程度大きな通信が「衛星とスマホ間」で安定的に可能になるまでにはもう少しだけ、時間がかかるかもしれません。 ■「太陽フレア」に代表される宇宙災害が新たな通信のリスクに 近い将来、衛星インターネットが全国的に大きく普及し、新たな通信インフラとして定着することは間違いないでしょう。それに伴い、新たな通信リスクとして「太陽フレアの影響」が懸念点になり得ます。
太陽フレアは、太陽表面で発生する爆発現象で、大量の電磁波や高エネルギー粒子を放出するもの。過去にはスターリンク衛星が、実際に太陽フレアの影響を受けて機能停止に陥った事例も。具体的には2022年には中規模の太陽フレアの発生の影響で、打ち上げた衛星49基のうち、約8割にあたる40基が失われたとされています。 太陽フレアの活動は11年周期と言われており、2025年にピークを迎えるとも言われています。2024年以内からはじまるKDDIの、スターリンク衛星との直接通信サービスがどのような影響を受けるのかは、注目すべきポイントと言えるかもしれません。
オトナライフ