障害のある子どもに廊下でも授業、特別支援学校の生徒急増で教室不足 態勢強化が必要…でも「隔離」に国連や専門家は懸念
文部科学省は、特別支援教育では「一人一人の教育的ニーズを把握し、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導および必要な支援を行う」としている。公立校の小中学部では1クラスの基準人数を6人、複数の障害があれば3人に設定。子どもごとに教育支援計画や指導計画を作成し、普通学校と比べて学習面や生活面でよりきめ細やかなサポートが受けられる。 伊勢崎特別支援学校では授業中は、常に児童生徒3~4人に教員1人が付き添い、発達や理解度に応じて教える。中学生が紙工作品を作る作業学習では、教員がはさみの使い方を「丁寧に」「力抜いて」など声をかけながら、技術や安全の面から一人一人に指導。生徒同士で自然と声をかけ合う場面もあった。 文部科学省は児童生徒増の背景を、こうしたきめ細やかな支援が実施されていることへの理解が広まったからではないかと分析している。 ▽「十分な支援を受けられると思わないで」と言われ、普通学校入学を断念
障害のある子どもの保護者は、就学先を巡って心が揺れる。普通学校と特別支援学校。「どういった環境がわが子に合うのか」と思い悩むからだ。 普通学校への入学を望む保護者も少なくないが、就学先は最終的に市町村の教育委員会が決定する。障害者やその保護者が参加する当事者団体には「地元の小学校に入りたいが、教育委員会が認めない」との相談が絶えない。増加した児童生徒数には「積極的に選んだ」とは言えないケースも含まれそうだ。 群馬県内に住む女性(51)は、知的障害がある長男を普通学校に入学させたかったが、学校側から「十分な支援を受けられると思わないでください」とくぎをさされて断念、伊勢崎特別支援学校に進学させたという。 別の母親(47)も、ダウン症がある次女の進学先として地元の普通学校を希望していたが、子どもへのサポート体制に不安を覚え、伊勢崎特別支援学校に変更した。ただ、次女は入学後、教員の指導で着替えや食事など身の回りのことが自分でできるようになった。「地域の子供と関係が断たれるのは不安だが、現状の支援体制では普通学校は考えられない」と話す。