英中銀が利下げしない理由、ヒントはパブに-根強いインフレを説明
しかし、ホスピタリティー企業は価格を抑えるのに苦労するだろう。バー、レストラン、娯楽産業は、食品価格や特に賃金の上昇を料金に転嫁している。
インフレの一因はスナク政権が下した決定、とりわけ物品税にある。ハント財務相は昨夏の終わりに、小売物価指数に合わせて英国のすべてのアルコール製品の税率を引き上げた。
その結果、蒸留酒やワイン、ビールの価格が高騰し、アルコールとたばこは昨年8月の年間インフレ率を過去最大規模で押し上げた。ハント氏は結局、春季予算で税率を凍結し、増税が中銀のインフレ対策を遅らせていることを認めた。
物価押し上げの最大の圧力となっているのは賃金で、最低賃金の引き上げと労働者数の減少により賃金は急上昇している。
キャピタル・エコノミクスが分析したPAYE(源泉徴収)のデータによると、ホスピタリティー業の賃金上昇率は約8%と全国平均よりも高い。EU離脱で欧州大陸からの労働者の流れが途絶えた後、企業は縮小する人材プールをめぐって競争している。
英国内では、職に就いておらず求職活動もしていない人の数がさまざまな理由で増えている。パンデミック以来、多くの人々が労働市場を離脱した。自宅でもできるハイブリッド型の仕事のおかげでホスピタリティー業の魅力は低下した。
キャピタル・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ポール・デールズ氏は、「これらのセクターにおける最近の賃金上昇の根強さは少し心配であり、賃金上昇率、ひいてはサービスインフレが緩やかにしか低下しないことを意味する可能性がある」と分析した。
原題:For Clues on Why the BOE Hasn’t Cut Rates, Just Head to the Pub(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Irina Anghel, Isabella Ward