「調達から廃棄まで」 住宅全体のCO₂削減、ヤマダホームズがリクシルとタッグ
ヤマダホームズが住設大手LIXIL(リクシル)と手を組み、住宅分野の二酸化炭素(CO₂)削減に本腰を入れ始めた。16日には、建築資材の調達から製造、施工、廃棄に至るまで、住宅全体に関わる「ライフサイクル(LC)CO₂」排出量の削減を目指し、対応するリクシルの窓を採用すると発表。窓以外の商材についても今後、両社で取り組んでいく考えを明らかにした。 【関連写真】リクシルが活用するアルミリサイクル材 「お客さまが選択できる商材として、環境負荷を低減したものとして提案していく」。先端技術が一堂に会した国内最大級の総合展「CEATEC」に初出展したヤマダホームズのブースで、清村浩一社長はこう力を込めた。 ヤマダが目指すのは、建設時のCO₂排出量を指す「エンボディドカーボン」を含むLCCO₂の削減だ。リクシルの試算では、戸建て住宅が建設時に排出するCO₂量は、生活する中での排出量とほぼ同等。そのため、住宅完成後だけでなく、資材調達や施工の段階からCO₂排出量を減らす取り組みが重要だ。 建設部門全体では、CO₂排出量が全世界の37%を占めるとも言われている。ヤマダがリクシルと手を組んだのは、戸建て住宅建設時を含めたCO₂排出量の削減が今後、住宅メーカーにとって必須になるとにらんだ上での対応だ。 リクシル常務役員の小林智サッシ・ドア事業部長は「日本の環境意識は欧州に比べて低い」と指摘。「『リサイクルは安物』といったイメージがあるが、手間やコストがかかっている」と話す。ヤマダが採用を決めたLCCO₂排出量の削減を目指したリクシルの窓「GREEN WINDOW」など環境配慮型製品を住宅全体で活用した場合、通常の住宅よりも「単純計算で1.2~1.3倍のコストがかかる」と説明した。 一方、リクシルがヤマダに期待するのは、家電量販店最大手としてのブランド力や顧客とのつながりだ。「顧客からのフィードバックを次の商品に生かしたい」(小林常務役員)。 消費者の環境理解を深めるためにも、リクシルの製品力とヤマダの接客力を生かしたい考えだ。清村社長は「(環境対応製品が)単なるコストアップ品ではなく、当社の接客力を生かした説明責任をもって理解してもらえるようにしたい」と語った。 両社にとって収益への具体的な貢献度は未知数とするが、今後、パッケージ化した新築住宅などの展開も視野に、取り組みを加速していく。
電波新聞社 報道本部