パリ五輪柔道金 角田夏実が柔術挑戦に意欲!?「一度試合に出てみたい」
昨夏のパリ五輪柔道女子48キロ級で金メダルを獲得した角田夏実(32)=SBC湘南美容クリニック=が、大会後もMVP級の活躍を続けている。テレビではバラエティー番組などに引っ張りだこで、各種イベントにも精力的に出演。注目が集まる中、今後の現役続行には意欲的で、体重無差別で争う4月の全日本女子選手権への出場を見据えている。また、デイリースポーツの取材に、将来的には柔術の大会に出場してみたいという願望も明かした。 昨年11月末、角田に近況を聞くと「ずっと夢を見ているような感じ」と夢見心地だった。30代で初の五輪切符をつかみ、金メダルを獲得するまでは幾度も挫折を味わっただけに“時の金メダリスト”として過ごす日々は慣れない。特に印象に残っている仕事はテレビ東京の「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」にゲスト出演したことだといい「ずっと見ていた番組だったので、まさか自分が出るなんて思わなかった」と感慨深げ。五輪から半年足らずで激変した環境に「朝起きたら実はまだパリ五輪前で、全部夢だったんじゃないかっていつも思っています」と笑った。 角田の代名詞ともいえる必殺技が、ともえ投げ。パリ五輪でも猛威を振るい、混合団体決勝では2階級上の銅メダリストを投げ、一本勝ちしたシーンは強烈なインパクトを残した。一方、もう一つの必殺技である腕ひしぎ十字固めの存在感が薄れている印象があるものの、角田は「警戒されていたり、寝技に入る前に投げて終わることが多いので」と苦笑いした。 角田の特異な柔道スタイルをつくった一つの契機が、東京学芸大時代の朝練で行われた柔術の練習だった。主催していた同大柔道部OBの高本裕和さん(48)は、世界最高峰のワールドマスターで2階級制覇の快挙を成し遂げた柔術の達人で、東京都小平市で「高本道場」を運営している。 角田は金メダルを持って高本道場に報告に訪れた際、練習にも参加したという。「久々だったけど、改めて寝技は楽しいなと感じた」。続けて、「できれば一度、柔術の試合に出てみたい気持ちはある」という願望も明かした。 また、総合格闘技(MMA)にも興味はあるというものの、全日本柔道連盟は他のプロ格闘技大会に出ることを禁じておりルール的に厳しい。「柔道を引退してからになるかもしれないけど、柔術はやってみたい」。実現の可能性はわからないが、32歳でなお尽きない好奇心が、角田の強さの源泉だと感じた。(デイリースポーツ・藤川資野) ◆角田夏実(つのだ・なつみ)1992年8月6日、千葉県出身。8歳から柔道を始め、八千代高2年時に全国高校総体3位。東京学芸大3年時の全日本学生大会で優勝した。52キロ級時代は16年講道館杯で初優勝し、初出場の17年世界選手権で銀メダルを獲得。19年に48キロ級に転向し、21年から世界選手権3連覇。31歳11カ月で臨んだパリ五輪で、日本女子最年長となる金メダルを獲得した。左組みで得意技はともえ投げ、腕ひしぎ十字固め。162センチ。