「フランスでは日本のマンガが人気」というが、じつは意外と知られていない「その実態」
紙の日本マンガ以外のコミックの動向
一方でマンガを除いたBD部門はというと、金額ベースで5.6%増、数量ベースで2.1%増。成長を牽引したのが2年に1度出る『アステリックス』の新刊と『ガストン・ラガフ』の復活だった。女性主人公作品の成功やジャンル作品の人気も市場の活性化に貢献している。 コミックの輸出権販売も好調で、2023年には3,852タイトルの権利が売却され、出版物の全輸出権販売の30.9%を占める。 日本のマンガ市場では電子の伸びが著しいが、フランスではデジタルコミックのシェアや売上の詳細は書かれていない。 ウェブトゥーンの成長についての記述はあるが、2023年7月にはDelcourtが運営するVerytoonが事業を終了し、韓国カカオピッコマも2024年にフランス支局を閉鎖すると発表した点にも触れている。一方、韓国NAVER Webtoonや現地資本のMedia Participationsが運営するOno、Ankama運営のAllskreenなどは主に10代や若い成人をターゲットにしている。これらのビジネスモデルはプラットフォームによって異なるが、最初の数話は無料で読め、その後は無料で読むために待つか、コインを購入するかという「待てば無料」「先読み課金」モデルが一般的だ。 日本マンガのデジタルコミックに関する記述はほぼない。 日本人の感覚からすると「フランスでも電子コミックはもっと伸びるのでは?」と思いたくもなるが、フランス人のコミック消費は年代ごとにBDを読むのか、日本マンガを読むのか、グラフィックノベルを読むのかが分かれており、「卒業」することも少なくない。 したがって新興勢力のデジタルコミック(ウェブトゥーンなど)がそこに割り込んで大きなシェアを得る余地はなかなかむずかしそうに見える。 フランス人の8歳から25歳までのコミック消費に関する報告書を読むとそれがはっきりわかる。 後編記事『「日本のマンガが人気」というイメージに反して、じつは「フランス人の大人」はあまりコミックを読まないという現実』に続く
飯田 一史(ライター)