一発退場で大号泣の下級生正GK水野稜に、先輩GK緒方琉太が抱き寄せて伝えた「俺がやってやる」。帝京大可児の守護神たちの熱き感動秘話【選手権】
仲間もその努力を目に焼き付けていた
緒方は、足もとの技術に優れる下級生の正GK水野を「リスペクトしている」という。その言葉に偽りはなく、試合前には抱き合い「思い切ってやってこい」と声をかけた。ずっと一緒に自主トレーニングをしてきた2年生のライバルを、心の底から励ました。 緒方の姿勢には帝京大可児の仲井正剛監督も「急遽、出場だったんですけど、よくやってくれました。2年生が正GKをやっているなかでも、常に良い準備をして、よくやってくれたと思います」と労いの言葉を述べる。そして3年生のチームメイト、加藤からは熱き秘話も聞こえてくる。やはり仲間は、サブGKの努力を目に焼き付けていた。 「ゴールキーパーで2年生が試合に出て、3年生なのに出られないのは、自分だったら悔しくて嫌な気持ちになってしまいますが、それでも緒方は一生懸命に練習して、真面目にトレーニングに取り組んでいました。それが実を結び、緊張感ある選手権で、アップもあまりできない緊急出場でも、ビッグセーブできたんだと思います。 緒方は練習で上手くいかなかった時、仲井監督から厳しく指摘されることもありましたけど、そのあと僕らチームメイトにも何が悪かったか聞いてきて、常に改善しようとしていました。本当にまっすぐにサッカーを頑張っていたので、突然チャンスが巡ってきても活躍できたのは、日頃の行ないがあったからかなと思います。緒方と一緒にやれて良かったです」 この日、普段は多忙でなかなか観戦に来られなかった両親が、東京まで試合を見に来てくれていたという。緒方は「ずっと試合に出られない時間のほうが長かったですけど、それでもずっと支えてくれて、感謝しかないです。来てくれた試合で出られて良かったです」と嬉しそうに語った。 感謝する両親から、緒方は激励とともに檜舞台へ送り出されていた。 「後悔なく楽しく頑張ってこい」 真摯に努力を重ね、謙虚な姿勢を貫いた緒方に与えられたのは、「後悔なく」力を出し尽くすための晴れ舞台だったのではないだろうか。あぁ、サッカーの神様って、やっぱりいるのかなぁ。改めて、そう感じさせられた感動ストーリーだった。 取材・文●志水麗鑑(フリーライター)
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