「こんなに、ラクだったとは…」山登りの概念が覆る「驚愕の方法」…キッツイ上りでも「バテない歩き方と呼吸の仕方」を公開する
歩調と呼吸とを合わせると「もっと楽に」
このとき、歩調と呼吸とを合わせると、もっと楽になります。図「きつい上りでの歩き方」のbの姿勢から前脚に乗り込んでいく(前脚に力を入れていく)ときに、息を吐き出すのです。筋トレのスクワット運動で、下ろした身体を上に持ち上げていくときに、息を吐くよう指導されるのと同じことです。 酸素が減って苦しさが増す高山、たとえば富士山でこの歩き方をすると、その効果がわかると思います。筆者がキリマンジャロ登山をしたとき、頂上直下で苦しそうに歩いていた人にこの歩き方を教えたところ、見違えるように元気になって登頂できた、という経験もあります。 なお、登山のテキストには、山道では後ろ足は蹴ってはいけないと書かれていますが、場面によっては有効です。段差の大きな部分では、前脚に乗り込むときに、後ろ足を軽く蹴るようにして、体重の持ち上げを補助してやると楽になります。ただし、ずっと続けていればふくらはぎが痙攣(けいれん)してしまいます。また、足場が崩れるようなところでは不適です。 登山では何千歩も何万歩も歩くので、一歩一歩で見ればわずかな歩行技術の差が、積み重なって大きな差にもなります。さまざまに変化する登山道の様相に合わせて、自分に合った歩き方を試行錯誤してみると、いろいろな発見ができると思います。 *過去回記事〈ザックに入れる食べ物」の量が瞬時にわかる計算式〉でご紹介した「行動中のエネルギー消費量を求める」式ですが、著者はさらに汎用性の高い「登山のエネルギー方程式」を完成させることに成功しました。下記の次回記事でご紹介します。 登山と身体の科学 運動生理学から見た合理的な登山術
山本 正嘉(鹿屋体育大学名誉教授)