GTから念願のGT-Rへ乗り換え! ハコスカが好き過ぎて2台同時所有! 【喜多方レトロ横丁 レトロモーターShow】
国産旧車を代表する存在が3代目スカイラインに設定されたKPGC10型スカイラインGT-R。高値ゆえGTをGT-R仕様にするのが流行だが、20年来の夢だったGT-Rへ乗り換えた人を紹介しよう。 PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru) 【写真】ハコスカGT-Rの詳細を見る 天井知らずとはまさにこのこと。旧型スカイラインは海外からの引き合いもあり、10年ほど前から異常事態とも言えるほど中古車価格が高騰した。驚くべきことに現在ではGT-RではないハコスカGTが、程度にもよるが1000万円を超えている。ハコスカGT-Rともなれば4000万円、5000万円といった具合で値崩れする様子が全く見られない。さらに台数が少ない次世代のケンメリGT-Rともなると7000万円に達している。 アメリカでは投資の対象としてクラシックカーを所有することが定着しているため、希少性の高い日本の旧車にも触手を伸ばす傾向もあるのだろう。とはいえ他に類を見ないスタイリングや直列6気筒DOHCエンジンの魅力など、ハコスカGT-Rはロマン溢れる存在に間違いはない。ツーリングカーレースで栄光の52勝を記録したこともあり、絶えずGT-Rの中古車は高値で推移してきた。とはいえ、量産車に過ぎない存在が数千万円もするというのは、やはり普通のことではない。 今から20年ほど前なら、ハコスカGTはまだまだ普通のサラリーマンでも買える相場だった。だからコツコツとパーツを集めてGT-R仕様へカスタムすることが流行した。長らくこのような状況が続いたため、ハコスカやケンメリのパーツは数多くの社外品が存在する。50年も前のクルマなのに維持がしやすいのはこのためだ。 もちろん本物のGT-Rにも社外部品が数多く存在する。それに今ではGT-RのGT-Rたる所以であるS20型エンジン用の補修部品からチューニング部品までが販売されている。これらにより排気量の拡大はもちろん、カム駆動を純正のチェーンからギアトレインにすることさえ可能。フルノーマルからチューニングまで幅広い楽しみ方ができることも人気車ゆえだ。 2024年7月に福島県喜多方市で開催された「喜多方レトロ横丁 レトロモーターShow」の会場にも数多くのハコスカが並んだ。やはりオーバーフェンダーやエンブレムなどを装着したGT-R仕様が多かったわけだが、ボンネットを開けっぱなしにして展示している個体に目が行った。ボディはGT純正のようなシルバーに塗装されていたためGT-R仕様かと思って近づくと、エンジンルームにはS20型が載っている。20年も30年も前ならGTにS20エンジンを載せてしまうケースが見られたが、令和の今ではS20エンジン自体が高騰しているため少数派。それならGT純正のL型エンジンを豊富な社外部品でチューニングするのが一般的。 そこで近くにいたオーナーに声をかけてみると「塗装がGTみたいだから、あえてボンネットを開けて展示しているんです」とのこと。オーナーは58歳の森田寿さんで、10年ほど前に横浜市にある旧車専門店で購入されたそうだ。購入時から少々カスタムしてあったそうで、それならと購入後に森田さん自身が変更した部分もある。 S20エンジンにはハイカムシャフトを組み込んでセッティング。足回りは車高調整式サスペンションへ変更してローダウン。さらにオフセットを特注したフロント8J、リヤ9.5Jのワイドなアルミホイールを履かせて足元を引き締めた。森田さんは栃木県にお住まいのため、県内の専門店で作業されたのかと聞けばそうではない。なんと埼玉県の旧車専門整備工場へ持ち込み作業を依頼されたのだとか。 実は森田さん、以前にハコスカGTを20年ほど乗られてきた経歴の持ち主。そのため県内にこだわらずハコスカ系のショップ情報に詳しいのだ。だから10年前に購入した時は長年抱いた念願を叶えたことになる。横にいた奥様からの許可が降りたためGT-Rを手にされたそうで、GTに20年乗っていたのは育児などの家庭環境から。だが、育児もひと段落して奥様から許可が降りると、なんとこのGT-Rを買った2か月後にもう一台ハコスカGT-Rを買い足してしまった。 次に買ったのはフルノーマルのハコスカGT-R。カスタムされたGT-Rとフルノーマルを交互に楽しまれているという、なんとも羨ましい話なのだ。成人した息子さんもいるため、都合が合えば親子それぞれGT-Rを走らせて旧車イベントに参加されることもあるとか。ところが森田さん、さらなる買い物をしてしまう。R35GT-Rのファイナルエディションを契約してしまった。来年納車される予定だそうで、新旧GT-Rを交互に乗るのが今から楽しみなのだとか。やはりスカイラインマニアには筋金入りの人が多いと改めて思った取材になった。
増田満
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