ダルビッシュが本来とは逆の左打席に立った理由とは?
元々、打撃センスは非凡だ。昨年8月24日のレッズ戦では、センターへホームランも打っている。しかし、右では、納得の行く打撃が出来ていたわけではないのだと言う。この日までの8三振は、指が痛くて満足にスイングが出来なかった結果だが、「右でライトに打っても、なんとなく来たやつに対して、遅れたからライトに飛ぶとか、そういう感じだった」とダルビッシュ。ところが今日の内野安打は、「ある程度、レフトの方へ狙っていた」そうである。 「今日も、球が全然速く見えなかった。打てるんじゃないかと思った。シンカーが来て、(バットを)出すという過程が、右とは違った」 決して、”たまたま“ではなかった。 ダルビッシュが一塁を駆け抜けた瞬間、やはり記者席は盛り上がったが、ダルビッシュはその前の回に39球を投げており、内野安打のあと、ヒットと四球で三塁まで進み、そこでイニングが終了。休むことなくマウンドに上がると、四球とヒットで降板しており、そこは多少なりとも影響があったのかもしれない。 それでも、ダルビッシュとしては、9人目の打者として貢献したかったからこそ、よりヒットを打つ可能性の高い左打席を選んだのだろう。トレードされてドジャースに合流した初日、いきなり打撃練習をすると、2発もスタンドへ叩き込んだ。左で打つ限り、そうした打球は難しいかもしれないが、肝心のピッチングで新フォームの模索が続く中、打撃では、いち早く答えを見つけた。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)