苦しい時期を乗り越え今季もフル回転した阪神・岩崎優。頼もしい投のリーダーだ＝甲子園球場（撮影・松永渉平)

自身と仲間たちへの熱い鼓舞だ。阪神・岩崎優投手（33）が2日、甲子園で全体練習に参加。12日開幕のクライマックスシリーズ（CS）ファーストステージへ「向かっていく」姿勢の重要性を説いた。5月の痛恨被弾後は三者凡退とできない登板が続いたが、「恐る恐る」投げていたメンタルをぬぐい去り復調につなげた。今季のCSは挑戦者の立場。投手陣を束ねるリーダーとして、先頭に立って挑む！ クローザー兼セットアッパーとして戦ったレギュラーシーズンが、幕を閉じようとしている。今季も投手陣の柱であり続けた岩崎が今、視線を向けるのはポストシーズンだ。昨季とは違う立場から、再びの頂点を狙う。 「去年はチームとしては受けて立つ立場で今年は向かっていくだけ。そういう気持ちを持ってみんなで戦っていきたい」 連覇は逃したが、今季も通算5度目で2年連続となるシーズン60試合に登板しタフさを示した。淡々と仕事をこなすその表情はまさに〝鉄仮面〟だが、そんな左腕にも苦しい時期があった。 回のはじめから登板した57試合中、1回をパーフェクトに封じ三者凡退としたのは20試合。月別では5月と9月が最多の5試合だが、6月はゼロだった。「3人で終われていないというのは自分でも分かっていて…」。すっきり切り抜けられない。必ず走者を背負ってしまう。自覚があり、自己分析もできていた。 「5月にハマスタで大逆転された試合をちょっと引きずって…。あれで前向きにいけないのが2週間ぐらいあったかな」 自ら明かした5月11日のDeNA戦は、9―7の八回に登板するも四球からの2被弾で3失点し敗戦投手となったゲームだ。そこから1カ月超、苦しんだ。6月はまさに「体の状態も上がってきたけど、まだ試合で思うようにいかないという難しい時期」だった。 粉々に砕かれたハートに〝つける薬〟なんてない。時の経過が傷を癒やしてくれるのを待つしかなかった。「メンタル面はものすごく影響してくるというのは改めて感じましたね。向かって投げるのか、恐る恐るなのかは全然違うことなので」。それでも徐々に安定したパフォーマンスを取り戻すと、8月20日のヤクルト戦（京セラ）から13試合連続無失点。9月は9試合で防御率0・00。ラスト4試合はすべて3人斬りだった。 向かっていく姿勢の大事さは、ポストシーズンを前にしたチームにも言えること－。シーズン最終盤までし烈な優勝争いを演じたが、今季は2位から日本一連覇に挑む。今こそ〝挑戦者魂〟を全員が胸に抱くべきだと、投のリーダーは説いた。