「現金は邪魔だが、ポケモンカードなら…」子どものおもちゃを“マネーロンダリングの道具”として活用する「振り込め詐欺グループの特殊事情」
マネーロンダリングにも利用される
一方で、前述のような数百万を超える価格で取引されるような超高額カードも、確かに存在している。そうした一部のポケモンカードの高額化の背景に「裏社会の需要」を指摘する声もある。 「振り込め詐欺をやってる連中は、蓄えたカネでせっせとポケモンカードを買い漁っているよ」 某指定暴力団の二次団体元幹部から、そんな話を聞いた。 「どう入手したか説明のできないカネは銀行に預けるわけにもいかず、タンス預金するしかなかった。しかし数千万単位になると、現金もなかなか邪魔になる。同業者や半グレからタタキ(強盗)に入られるリスクもあるし。でも100万円のポケモンカード数十枚に変えてしまえば、コンパクトに隠せるだろ」(元幹部) さらに、ポケモンカードを利用したマネーロンダリングも横行しているようだ。 「たとえば犯罪収益で100万円の価値があるレアカードをコレクターなどから相対取引(売り手と買い手が直接価格などを決める取引のこと)で買う。そしてそれをしばらくして同額で転売する。もともと100万円で買ったという事実を伏せたうえで、『偶然引き当てたレアカードの価値が上昇しそれを売却した』と見せかければ、合法的な資金とすることができる。実際には、さらに複雑な取引を繰り返すことで、当局による追跡は不可能になる」(同) 犯罪資金の海外への持ち出しも、ポケモンカードを媒介することで容易になるという。 「以前は、現金を美術品や骨董品、仮想通貨などに変えて国境を超える方法が取られていたが、最近はどれも国際的に対策されている。数千万円くらいまでの資金であれば、ポケモンカードに変えて現地で現金化するのが一番手っ取り早い」(同) 秋葉原では1300万円相当を盗まれた店舗も…闇バイト集団が「ポケモンカード」を泥棒する“怖い理由” へ続く
奥窪 優木/Webオリジナル(外部転載)