12歳の少年が見た昭和45年 大阪万博「僕たちの未来は千里丘陵のあの場所にあった」 プレイバック「昭和100年」
この年は東京で光化学スモッグ注意報というものが初めて発令された。工場や自動車の排ガスが原因の一つらしく、目がチカチカしたりのどが痛くなったりするらしい。僕も大阪で似たような経験をしたことがあるが、あれは何だったんだろう。
ニュースでも「公害国会」とか言って大気汚染などを防止する法律が次々とできたらしい。少し前までは日本中が万博のお祭り一色のようだったのに今は公害の話題ばかりだ。
三菱未来館のテーマだった50年後は2020年。僕はもう年寄りだが、公害などはすべて吸い取ってくれる掃除機が登場していると思う。車だって空中パイプのようなところを走るようになる。電話はすべてテレビ電話、人間洗濯機が体も洗ってくれる。もっと大きな話で言えば、人が月に行くのは当たり前だし、世界はベトナムも中東も関係なく、とっくに平和になっているはずだ。
閉幕した万博会場まで自転車で行くと、周囲にフェンスが張られ、中でパビリオンが次々と壊されていた。さみしくて涙が出た。僕たちの未来は、本当にこの場所につながっているのだろうか。
※昭和45年3月15日から9月13日までの半年間、大阪の千里丘陵で開かれた大阪万博には海外76カ国、国内の32団体・企業が参加、終盤の9月5日には1日で83万人の最多入場者を記録した。入場料は大人800円、青年600円、小人400円だった。