中華まん「1日最大40万個生産」工場の驚きの内部。中村屋の中華まんが出来上がるまで…現場の改善活動も聞く
つづいて、いよいよ見学通路へ。 ■中華まんが作られている様子 ガラス越しに、生地の投入から成型、蒸し上げ、そして箱詰めまで、次々と作られていく様子を間近で見ることができる。その様子は、まるで中華まんの大行進だ。 「工場は効率を重視して設計されており、流れに沿って見学していただくことで、わかりやすく見ていただけるかと思います」(広沢さん) 見学終了後には、セイロで蒸しあげられた蒸したてほかほかの中華まんが待っている。さきほどまで見てきた光景を思い出しながら、いただく中華まんは、まさに工場見学ならではの贅沢なごちそうだ。さらには、お土産も貰える。
「なかには、ここで中華まんデビューを果たしたお子様もいらっしゃいます。中華まんの魅力を改めて知っていただいたり、みなさんの笑顔が見られると、とてもうれしく思います」(広沢さん)。 冒頭でも触れたように、中華まんミュージアムがある武蔵工場では、全国のコンビニエンスストア向けの製品を製造している。この工場は既存の工場の活用ではなく、イチから設計された。内部では、作業の効率を考えた直線的な導線と、オートメーション化が大きく進んでいる。省人化や作業負担の軽減といったメリットがあるという。
「具体的には、生地の投入や具材の補充、箱の積み上げといった重労働が機械化され、作業負担が大幅に軽減されました。これにより、労働人口減少を見据えた作業環境の改善にもつながっています。一方、機械トラブル時には迅速な復旧対応が必要となってきます」(武蔵工場 谷本智志さん) オートメーション化やデータリンクで作業効率は向上した反面、停電などでシステムが停止すると復旧作業が難航する場合もある。そのため、工務課スタッフが昼夜を問わずサポートできる体制をとっているそうだ。
■生産活動でも改善を重ねる 日々の生産活動では、改善も重ねている。谷本さんによると、具材を作る工程において、これまでは計量作業者が専任で担当しており、後工程の状況によっては、手待ち時間が発生していた。これでは効率が悪いと、ジャストインタイムを採用。混合作業者が、必要なタイミングで計量から行うことで、ロスタイムや計量容器の削減につながった。 こうした改善活動が行われる背景には、工場全体で進められている5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」)活動の存在がある。職場環境の整備を通じて、効率的でムダの少ない作業ができる基盤を築くことが、改善の実現に大きく寄与しているのだ。