農業振興へ気持ち新た 奄美群島農業祭、6年ぶり開催
第32回奄美群島農業祭(奄美群島農政推進協議会主催)は7日、鹿児島県奄美市笠利町の農村環境改善センターであった。優秀農家や集落営農集団など39の団体・個人を表彰。事例発表や記念講演などが行われ、出席者は地域農業の振興発展へ気持ちを新たにした。 農業祭は3年に1回、群島内で巡回開催されている。前回の2021年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止しており、開催は6年ぶり。 来賓あいさつや表彰に続き、バニラビーンズの輸入・販売や生産を手掛けるAMAMIバリュープロデュースの林晋太郎代表が「奄美地域の持続的発展に向けたプロデュース」をテーマに事例発表。琉球大学の杉村泰彦教授が「沖縄市場からみた奄美群島農産物の魅力・出荷の可能性」を演題に記念講演した。 林代表は農林水産省を退職した22年、①亜熱帯作物②農薬、肥料が不要③加工後、長期保存可能④希少性の高さーなどを考慮し、奄美でバニラビーンズ栽培に着手した。奄美産バニラの国内供給、海外輸出を目標に掲げる一方、規格外品を活用した加工品製造・販売も始めており、「バニラ栽培をすることで、農業や特産物、観光といった奄美の価値を創造したい」と述べた。 杉村教授は沖縄の消費者の大半が、大手スーパーチェーンで飲食料品を購入しているデータを紹介。徳之島、沖永良部島で栽培されているバレイショの沖縄出荷について「沖縄県産だけでは足りない現状にある。定期船が毎日運航している優位性があるので、計画的な安定出荷や選果の精度向上が課題になる」と強調した。 展示コーナーには群島各市町村の農業の取り組みを紹介したパネルや農産物加工品の展示もあり、多くの人でにぎわった。