樹木希林さんに散々怒られて…「人に電話をかけるのも怖い」人見知りが、樹木さんに人間性を見抜かれて言われた「言葉」
答えのない問いを考える
ものすごく距離を詰めていって、時間を割いて同じことを話し、番組と関係ない付き合い方をする。酒であったり、いろんなことも含めてやっていくと。 今回は特にインタビューが勝負の場ということもあって、そのときはもう完全に変えるというか、逆に場を緊張させるようなことをやっているんです。言葉遣いも普段とは変わっているかもしれませんが、この場をどう映像的なシーンにしていくかということを意識して、かなり緊張感を持って臨んでいました。 インタビューはだいたい1回ないし2回で終わって、一回に3時間ぐらい(話を)聴いています。 なぜあなた警察官になったのかとか、なぜ新聞記者になったのかというところから解きほぐしていって、飯塚事件が起きたときはあなた何をしていたかという、臨場感を持って進行形の中で聴いていくことを心がけたんです。過去形で振り返るというより、話す方自身がそのときを生きてるかのように、事件が終わった後の30年を、どういう気持ちでいたかということを聴いていく、そういう工夫をしました。 それによって話してくれていればいいなと。自分の中では、可能な限り話してくれたのかなという気はしています。 この作品はゴールがないもんですから、もちろん答えもなくて、見る方は非常に疲れるというか、カタルシスがないというか、いま置かれている社会がどうなっているのか、ご自身で持ち帰っていただく作品になっています。 僕は本当に、冤罪だということを言いたいわけでも何でもなくて、様々な世界で生きている、いま仕事をされている方々の葛藤を見るなかで、おそらくそれぞれお考えになることがあるかと思いますので、ご自身に置き換えて考えていただければと思っています。 ――続編はあるのでしょうか。 飯塚事件についてまもなく第二次再審の決定があるんですけれども、それをやっていくとまた裁判の行方になっていきますので、続編をつくるのはかなりハードルが高いんですけども、別の角度でNHKの番組で、やはり司法を素材にしたドキュメンタリーを放送が予定されていますので、何かこの手の番組やってるなと思ったらおそらく私がやっていると思いますので、ご覧になっていただければと思います。 第3回『二人の少女が惨殺された「福岡の事件」でここにきて浮上してきた「まさかの新証拠」の中身』ヘ続く
木寺 一孝(映像作家、ディレクター)