樹木希林さんに散々怒られて…「人に電話をかけるのも怖い」人見知りが、樹木さんに人間性を見抜かれて言われた「言葉」
被写体となる人間との付き合い方
――大島新さんのYouTube「ネツゲンチャンネル」に木寺監督が出られていて、そちらでもお話しされていたと思うんですが、被写体になる方とのお付き合いの仕方について。お酒を飲める機会があれば飲んで仲良くなってという話をされていたと思うんですけど、インタビューを取るときの心のほぐし方だったり、あまり入り込まずにイーブンに話を聞く、ニュートラルなポジションにいる、そういう関係性の作り方はどうされているんですか。 今回の作品の肝、中心になるのはインタビューで、それともう一つの武器はNHKが蓄積していたアーカイブスの映像等と、それにイメージ映像という、この三つで成り立っている非常にシンプルな内容なので、やはりインタビューというものをどう撮るかが最大の関門(になった)といいますか。 私は結構いまも緊張しているんですけども、人との付き合いが苦手というか、友だちもあまりいないような、人から言われることを気にするタイプなんです。 樹木希林さんが亡くなるまでの1年間を撮ったドキュメンタリー作品でも、樹木さんにそういう性格を見抜かれ、「自分がない」と散々怒られて。そのくらい付き合い方が不器用だということはあるんです。僕の性格で。 60を前にして恥ずかしい限りですが、もう人に電話をかけるのも怖いぐらいの人間なんです。 ですからこの仕事につくようになって、それをどうするか。 今回のように取材対象者と向き合うときにはどうするかというと、できるだけそこに自分が一緒にいて、この空間を共にする、この空気を整えるというか、どうやってそのように持っていくかということが僕の考え方で、それには自分はできるだけ近づいていくというか。 これを否定する方もいると思うんです。いつも一緒にやっているカメラマンはそういうやり方を嫌って、撮影が終わったらすぐ帰ろうというタイプなんですけど、僕は性格的なこともあって、些細な行動とか表情とかが気になるタイプなんです。