<浦学新時代`22センバツ>データ管理/特製ドリンク/来客対応 マネジャーも「改革」 自分たちで考え、取り組み挑戦 /埼玉
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場する浦和学院。2021年秋に就任した森大監督が新チームで進める「改革」は、チームを支えるマネジャー6人にも及ぶ。2年の宮治希実さん(17)は「自ら考えて新しい取り組みに挑戦してます。地道に努力する選手たちに並べるよう、マネジャーとしても全国レベルになりたい」と意気込む。【平本絢子】 「こんにちは」。浦和学院のグラウンドを訪れると、明るい笑顔に迎えられる。ベンチで監督の空き時間を待つ間に、コーヒー、緑茶、抹茶ラテなどその日のドリンクメニューを手書きしたボード持参で「温かい飲み物はいかがですか」。抹茶ラテを希望すると、提供されたカップには「今年も浦和学院野球部をよろしくお願いします」というメッセージカードが添えられていた。「日ごろ関わる人に感謝の気持ちを伝えたい」。自分たちに何ができるか、アイデアを出し合って工夫した来客対応だ。 就任以降、森監督はマネジャー6人とSNSのグループチャットを作り、本やスポーツニュースに掲載された他校の取り組みを積極的に共有。これらを参考に、何ができるか考えるよう投げかけた。宮治さんも、高校野球のマネジメント方法を解説した「JK<準備と確認>で人生が変わる」(ベースボール・マガジン社)を読むなどして、やるべきことを模索した。 まず試みたのはデータの扱い。冬の体作りを行う上で、選手一人一人の体重測定の数値や夕飯のおかわりの量をパソコンに入力し、1週間ごとにグラフ化した。コーチや栄養士と協力し、練習の合間に飲むプロテインや特製のスポーツドリンクも作り始めた。選手からも反響があり、近くで接して気づくことも多くなった。「やることが増えて毎日くたくた。でも、選手に喜ばれ、仕事の幅が広がるのはうれしい」 宮治さんは中学2年だった18年夏、野球好きの父雅人さん(43)に連れられ阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で浦和学院の試合を観戦。「こんなに熱気あふれる人たちがいるのか」と感銘を受け、野球部マネジャーになりたくて同校進学を決めた。「試合を見に行けない人にも野球の魅力を伝えたい」と、将来はスポーツ新聞の記者を志す。 マネジャー6人のうち2年生は1人。3年生マネジャーが引退してまもなく秋の大会が始まり、唯一の上級生としてまとめる立場に「一人で何とかしなきゃといっぱいいっぱいになっていた」。思い悩んだ末、森監督に相談すると「まず自分たちがどうしていきたいか考えよう」と言われた。各マネジャーがやりたいことを提案し、さまざまな取り組みを試しながら「それぞれが自発的に動くようになり、任せることも覚えた」。来客やスタッフに取り組みを褒められ、「自分たちの行動を見られている実感があり、いろんな所に目が行くようになった」と周りの反響も背中を押す。 「改革」を経たマネジャーらも7年ぶりの大舞台に臨む。「グラウンドの雰囲気作りに役立ちたい」と、選手とともに闘志を燃やす。