「議員に土下座」を何度も目撃…政治の世界で“議員秘書”をしながら考えた、ストレスフルな環境でも「なんとかなる」と思える方法とは?【舟木彩乃さん】
長時間労働が常態化、議員の都合に振り回される……肉体的にも精神的にもストレスフルな環境と言われる国会議員の事務所。そこで議員秘書をしながら、心理カウンセラーをしていた舟木彩乃さんは、過酷な環境で潰れてしまう人と、心身の健康を保つ人の違いが気になり研究する中で、医療社会学者のアーロン・アントノフスキー氏が提唱した「首尾一貫感覚」という概念と出会いました。 舟木さんの新著『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』は、そうしたストレスマネジメント法について詳しく書かれた1冊です。 首尾一貫感覚は別名「ストレス対処力」とも言い換えられる、ストレスフルな環境下でも心の健康を保つ力のこと。そこには、私たちが現代のストレス社会を生き抜くためのヒントが詰まっているといいます。 社会人になってから大学院に入り、「国会議員秘書のストレス状況」についても研究していたという舟木さん。まずは議員秘書時代のエピソードも交えながら、首尾一貫感覚とは何かについてお話を伺います。 舟木彩乃(ふなき・あやの)さん ストレスマネジメント専門家。公認心理師。株式会社メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。一般企業の人事部で働きながらカウンセラーに転身、その後、病院(精神科・心療内科)などの勤務と並行して筑波大学大学院に入学し、2020年に博士課程を修了。一般企業や中央官庁、自治体などのメンタルヘルス対策や研修に携わり、カウンセラーとしての相談人数は、のべ約1万人以上。ストレスフルな職業とされる議員秘書のストレスに関する研究で知った「首尾一貫感覚(別名:ストレス対処力)」に有用性を感じ、カウンセリングにとり入れている。Yahoo!ニュース エキスパート オーサ-として「職場の心理学」をテーマにした記事、コメントを発信中。
休職に失踪…秘書が次々と姿を消す「不可解な職場」
――舟木さんは以前、心理カウンセラーと議員秘書を両立されていたそうですが、全く異なる二つの仕事をするようになったきっかけは何だったのでしょうか。 舟木彩乃さん(以下、舟木):元々心理カウンセラーをしていたのですが、ある時、国会議員の事務所で働いている知り合いから「うちで秘書を募集してるんだけど、やってみない?」と声を掛けてもらったのがそもそものきっかけです。 ――議員秘書という仕事のどんなところに興味を持ったのですか? 舟木:国会議員の事務所は「公設秘書」と呼ばれる秘書を3人置くことができます。まず政策担当秘書 、その次に公設第一秘書、公設第二秘書がいます。その事務所では、政策担当秘書が鬱病で休職して、第一秘書がなんと失踪、さらに第二秘書も来なくなってしまったそう。「そして誰もいなくなった」みたいな状況でした。「そんなことってある!?」と思いますよね。一体どんな職場なのか、心理カウンセラーとしては逆に興味が湧いてきたんです。