センバツ2024 これぞ逆転の報徳 2000人大応援団が熱狂 /兵庫
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に2年連続23回目出場の報徳学園は22日、1回戦で愛工大名電(愛知)と対戦し、延長十回タイブレークの末、3―2で逆転サヨナラ勝ちした。スタンドには生徒や選手の家族、吹奏楽部員ら約2000人の大応援団が集まり、初戦とは思えないほどの盛り上がりを見せた。報徳学園は25日の第3試合(午後2時開始予定)で、日本航空石川(石川)と常総学院(茨城)の勝者と対戦する。【稲田佳代、中田博維】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 準優勝した前回センバツを超える「日本一」を目指して迎えた初戦。スタンドの野球部員の小川太志さん(3年)が「もう一つ上の旗を全員で取りに行きましょう!」と呼び掛けて応援が始まった。 序盤は先発・今朝丸裕喜投手(同)の好投で無失点。安井康起選手(同)が右翼から三塁への矢のような送球で相手走者をアウトにするなど好守備も光った。六回に先制されたが、七回に代打の貞岡拓磨選手(同)の適時打で同点に。八回から登板した間木歩投手(同)もピンチをうまく切り抜け延長戦に入った。父傑(すぐる)さん(46)は「頼もしく成長してくれた」と目を細めた。 タイブレークの十回表、間木投手が1失点に抑えると、見守っていた宮崎翔(つばさ)コーチ(37)は「ぎりぎりのところで踏ん張ってくれている」。スタンドが学校名物の応援「アゲアゲホイホイ」で揺れる中、斎藤佑征(ゆうと)選手(同)がサヨナラ中前適時打を放つと、部員たちは「これこそ逆転の報徳」と喜びの声を上げた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇好守備で勝利貢献 福留希空(のあ)選手(3年) 「自分らしくいけ。楽しめよ」。大角健二監督にそう送り出された五回裏2死一、二塁の好機。積極的なバッティングが持ち味だがライトフライに倒れた。「昨日から緊張していた。打席に立つとマウンドがすごく近くに見えて、力ばかり入った」と悔しがる。 昨年秋からチーム全体の打線が振るわず、近畿大会は犠飛などで得点して準々決勝に進んだが2試合で適時打はゼロ。大角監督が「すでに低反発バットを使っているみたいだ」と評するほど。「野手の主将」を務めながら結果が出ず、自信を失った時期もあったが、冬のトレーニングで復調し快音を響かせた。 初戦は自身はノーヒットだったが、チームは11安打と好調だった。大角監督は「皆が打たない時に打ってくれたらいい」と見守る。 1点差の息詰まる投手戦で、初回には好守備で失点を防ぎ、勝利に貢献した。「この勝ち方は2回戦以降にいい影響がある。野手でもっと投手を助けたい」と前を向いた。【稲田佳代】 〔神戸版〕