暴れん坊たちが次々と 落日と移籍騒動 大杉の「次は兄貴の番」に「わかっとるわい」 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<17>
日本ハムになって三原脩さんが球団社長になった。監督は娘婿の中西太さんです。新球団だから新しいチームカラーに変えたいわけです。土橋(正幸)さんもいない(48年退団)。49年オフです。白も太平洋に移籍(東田正義との1対1)し、大杉がヤクルトにトレードされた(10月30日発表、小田義人、内田順三との1対2)。大杉が出るとき、「次は兄貴の番ですよ」と言うんで「そんなのわかっとるわい」って。ロッテだとか、大洋だとかいろいろ話はあったようですが、結局1年が過ぎ、50年のオフです。
私のトレード騒動が本格的になった。監督は中西さんから新たに大沢啓二さんに代わってましたが、三原さんに呼ばれました。「お前、好きなところに行かせてやる」と言われた。本当はいけないんですよ、こんな発言は…。そんな球団社長はいませんが、そこが三原さんのすごいところです。
西鉄の監督時代、〝2番最強打者説〟を唱えて豊田泰光さんを起用して、巨人を破って(31年から)日本シリーズ3連覇した。大洋に移った1年目(35年)でも優勝し、〝三原マジック〟といわれた。偉大な監督であり、球団社長としても肝が据わっていた。それで私は(移籍先を)探したんです。(聞き手 清水満)
【関連記事】
- 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<16>「神業」ドラッグバントの極意とは イチローに破られた日本記録「うれしい人はいない」
- 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<15>MVPで人生最高のとき 王の打球に衝撃 山内のおじさん「お前だって」に夜遊びやめる
- 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<14>連敗後の夜行で飲み明かし まさかの日本一 「動くナイトクラブ」で酒盛り、監督悩ませる
- 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<13>「再会」した水原監督に勝つ野球を学ぶ 反抗⁉ 試合中に敵ベンチから抜け出して帰宅
- 話の肖像画 元プロ野球選手・張本勲<1>被爆者として、ノーベル平和賞への思い 覆いかぶさってくれた母、背中にガラスの破片や血