【箱根駅伝】往路Vの青学大・原監督「組織として力がついてる」 糧となった2021年大会の失速
同じ過ちは繰り返さない――。第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝、2日=5区間107・5キロ)の往路は、青学大が5時間20分01秒で2年連続7度目の往路優勝を果たした。戦前から原晋監督(57)が「今までで一番強い」と自信を口にしていた中で、きっちり頂点の座を奪取。終盤の逆転劇で〝負のジンクス〟を乗り越えた王者は、2年連続8度目の総合優勝に大きく前進した。 【写真】往路優勝会見で婚約者の存在を明かした青学大の4区・太田蒼生 冷静さが光った。首位中大と45秒差でタスキを受けた5区の若林宏樹(4年)は、3・6キロ付近で差が54秒に広がったが、自分のペースを維持。上りがキツくなっても軽やかなピッチで刻み、差をみるみる縮めた。原監督は「1キロあたりで一気に10秒ぐらい縮まったところがあった。その段階でこれは小涌園前で追いつくだろうなと。勝ちを確信したのは若林の5キロ付近かな」と回想。自分たちの戦いを貫き通し、最初に芦ノ湖のゴールへ飛び込んだ。 「目標は完全優勝」と意気込んでいた2021年大会は往路で12位と大失速。各選手のわずかな焦りが歯車を狂わせた。「勝てる勝てると言われた時に、意外と負けている」と当時を自虐したが、チーム内外から大本命と称された今大会は反省を生かした。1区・宇田川瞬矢(3年)が10位と出遅れ、3区・鶴川正也(4年)も本来の力を発揮できなかったものの、他選手がきっちりカバー。原監督は「少し1区、3区とモタモタした場面もあったが、駅伝はチーム戦。それをフォローするのがチームメイト。今回勝てると思ったタイミングで勝てたのは、組織として力がついてるということ」と手応えを語った。 前回大会は本番の約1か月前に、インフルエンザの集団感染に見舞われた。強化プランが狂った一方で「早めに疲れがとれてよかった」と意外な発見もあったという。それでも、今大会に向けては例年通り「青山メソッド」でピーキングを調整。前回大会の成功にとらわれることなく、20年以上の指導歴で培ったアプローチ術で選手たちに自信を植え付けた。 今季は出雲駅伝、全日本大学駅伝でともに3位。国学院大に2冠を許すも「あくまでも箱根に合わせたトレーニングの流れの中でやっている」と動じる気配は一切なかった。常に泰然自若の構えを崩さなかったからこそ、最後の最後で勝利の女神が青学大にほほ笑んだ。 失敗を糧に組織として進化を遂げる青学大。3日の復路は「(6区)山下りのスペシャリスト、野村(昭夢=4年)が後続に30秒以上離して、ピクニックランで7、8、9、10(区)と帰ってきたい」と大逃げを宣言。大手町で笑顔の花を咲かせる準備は整った。
中西崇太