魅力的なV8ツインターボの味わい ポルシェ・パナメーラ GTSへ試乗 でも何かが不足?
素晴らしいシャシーバランス でも何かが足りない
特に、3000rpmからの迫力は素晴らしい。シフトパドルを弾き、8速デュアルクラッチATの最適なギアを選択し、集中してパワーを引き出すというプロセスが、運転体験の訴求力を高める。より走りへ集中できる。 身のこなしはフラットで、ステアリングの反応は正確。全長が5mを超えるモデルとしては、パワーオン時のシャシーバランスも素晴らしい。実際、ターボ E-ハイブリッドより軽いから、慣性からの束縛も小さい。重さと大きさを、完全に忘れる訳ではないが。 ただし、筆者は何かが足りないように思った。恐らくそれは、高度なポルシェ・カイエンに搭載されているような、特別なフロントアクスルかもしれない。ターンインを一層鋭くし、印象的な動的特性を生み出す技術だ。 それが備わらないため、動的な差別化が限定的に感じるのではないだろうか。走りに強いこだわりを持つドライバーを、強く誘引できるほどの魅力を宿しているのか、疑問が残ることは否めない。 GTSは、それ以外のパナメーラよりベターではある。V8エンジンはソウルフルで、走りへフォーカスしている。だが複数設定されたグレードの中で、ターボS E-ハイブリッドを超えたベスト、とまではいえないだろう。
ポルシェ・パナメーラ GTS(欧州仕様)のスペック
英国価格:12万7304ポンド(約2470万円) 全長:5052mm 全幅:1937mm 全高:1432mm 最高速度:302km/h 0-100km/h加速:3.8秒 燃費:7.9-8.3km/L CO2排出量:274-288g/km 車両重量:2065kg パワートレイン:V型8気筒3996cc ツインターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:501ps/6500rpm 最大トルク:67.2kg-m/2100-4000rpm ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)
マット・ソーンダース(執筆) 中嶋健治(翻訳)