バイデン氏の失点目立つ、与党内でも憂慮深まるか-米大統領選討論会
(ブルームバーグ): 11月5日の米大統領選に向けて、再選を目指すバイデン大統領とホワイトハウス返り咲きを狙うトランプ前大統領の最初の討論会が27日夜(28日午前)、ジョージア州アトランタのCNNのスタジオで聴衆なしで行われた。
バイデン氏は討論会のやり取りで一時固まったように見えたり、同じことを繰り返したりする場面があったほか、自身の政権下で創出された雇用者数を言い間違えるなど失点があった。1500万人とする代わりに1万5000人と話した。
現在81歳で米国史上最高齢の大統領であるバイデン氏を巡っては、当選しても次期4年の任期を務めることができるのか懸念があり、この日のぎこちないパフォーマンスは大統領選でトランプ氏を破ることができるのか、与党民主党内でも憂慮が深まることにつながりかねない。
バイデン氏は今回の討論会で、不振にあえぐ再選に向けたキャンペーンの再活性化を狙ったが、その賭けは失敗に終わった形だ。
民主党内では公式・非公式に警戒の声が上がるとともに、大統領の年齢や鋭敏さに関する懸念は行き過ぎだとして否定してきた選挙陣営への憤りが浮上しつつある。
バイデン氏は27日夜、立候補を続ける意向を示したが、選挙戦にとどまるべきかどうか疑問の声も上がっている。民主党議員の1人は討論会終了直後、同党として候補者を他の人物に差し替えることについて議論する必要があるとの考えを匿名を条件に示した。
これまで小幅ながらも着実なリードを保ってきたトランプ氏は、同日の討論会を経て明確に優位なポジションを確保したと見受けられる。
トランプ氏もバイデン氏のこうした間違いに乗じる形で、「彼が言っていることは訳が分からない」などとやゆした。事情に詳しい複数の関係者は、バイデン氏は風邪をひいていると説明した。同氏は討論会で咳(せ)き込むこともあった。
バイデン氏はインフレとの闘いを継続すると述べるとともに、一段と公正な税制を確保する必要があると語った。具体的には、社会保障制度を維持するために富裕層の負担を増やすべきだとした。