トランプ氏、軍事力行使排除せず パナマ運河とグリーンランド巡り
Steve Holland Joseph Ax [パームビーチ(米フロリダ州) 7日 ロイター] - トランプ次期米大統領は7日、米国がパナマ運河の管理権を取り戻し、デンマークの自治領グリーンランドを獲得するために軍事行動や経済措置を取る可能性を排除しなかった。 パナマ運河とグリーランドを巡り、軍事力や経済的威圧を用いないと確約できるか記者会見で問われ、「いずれも保証できない」と返答。「経済安全保障のために必要だとは言える」と応じた。グリーンランド購入にデンマークが抵抗すれば、関税を課す可能性も示唆した。 この発言の直前にはトランプ氏の長男ジュニア氏がグリーンランドを私的に訪問した。 デンマークのフレデリクセン首相はトランプ氏の発言について「緊密な同盟国、パートナーであるのに、経済的手段で互いに争うのは良い道ではない」と述べた。 パナマのマルティネスアチャ外相は記者団に対し、「運河を支配しているのはパナマ人のみであり、今後もそうあり続けるだろう」と述べた。 パナマ運河は米国が建設・管理していたが、1999年に管理権をパナマに移譲した。 <カナダへの関心も改めて表明> トランプ氏は「51番目の州」になるべきと発言しているカナダについて「合併」への関心を改めて表明し、両国の国境は「人為的に引かれた線」だと主張。米国によるカナダ製品への支出や軍事支援は米国に恩恵をもたらさないと批判した。 カナダのジョリー外相は「トランプ次期大統領の発言は、カナダがなぜ強い国なのかという点の理解が完全に欠けていることを示すものだ。カナダの経済は強く、国民は強い。脅しには決して屈しない」とXに投稿した。 トランプ氏はメキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更するという考えも示した。 メキシコのエブラルド経済相は「30年後もメキシコ湾はメキシコ湾と呼ばれたままだろう」と述べ、メキシコ政府がこの議論に引きずり込まれることはないとした。 <NATO加盟国に国防費増求める> トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)については、各加盟国が国内総生産(GDP)の5%を国防費に充てるべきとし、現行の目標である2%から大幅な増額を求める姿勢を示した。 NATOによると、米国も含め、現在GDPの5%を国防費に充てている加盟国はない。ポーランドがGDP比4.12%で最も高く、エストニアが3.43%、米国が3.38%と続いている。 トランプ氏は中東情勢を巡っても、自身の就任までにイスラム組織ハマスがイスラエルの人質を解放しなければ「深刻な結果」がもたらされると改めて警告した。 <「イーロンは良い仕事をしている」> トランプ氏はまた、自身の盟友で大富豪のイーロン・マスク氏が外交問題に公に立ち入ることが適切かどうか問われると、「イーロンは良い仕事をしているし、とても賢い男だ」と答えた。 マスク氏はここ数週間、独極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明するなど、xを利用して欧州政治にコメントしている。