「やったー!『123万円の壁』ならディズニー1回増やせるわ!だと?」お気楽パート主婦にイラつく「シングルマザー」が感じた税制改正の「不公平感」とは
来年度の税制改正を前に、与党は控除額を123万円に引き上げるなどの内容を盛り込んだ「与党税制改正大綱」を了承した。長らく立ちはだかってきた103万という控除額が多少なりとも引き上がることで、これまで指摘されてきた主婦や学生などの「働き控え」はどうなっていくのか。 この記事の他の画像を見る 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、今回の与党の決定についてこう指摘する。 「節税効果がショボすぎるという批判の多い『控除額の引き上げ』ですが、実際に改正されれば、控除額上限まで働いた場合の手取り収入が単純に20万円増えるので、これは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。 しかし、問題は控除額を引き上げれば皆さんの『働き控え』がなくなるのか、という点。言わずもがな、パート主婦や学生バイトには、『家事・育児』『学業』といった『本分』があります。単純に控除額が引き上がった分全開で働くという人がどれだけいるのか、また、学生にそこまで働かせていいのかという問題も…。 雇う側の『人件費問題』もあり、話は単純にはいかないように思いますね」 ・・・・・・・・ 今回は、控除額の引き上げに対し、「そもそも働いているんだから、所得税が出ないように調整することがおかしいと思う」という意見を寄せてくれた女性に話を聞いた。 「働く理由はもちろん人それぞれですけど、小遣い稼ぎで仕事してる奴が『税金出ないように働きたいがため』に周りが迷惑することに対しては納得がいきませんね」 こう話すのは、45歳の師岡かなえさん(仮名)。シングルマザーとして、2人の小中学生を育てている。 「今年も11月に入ったあたりからシフトをどんどん減らして、当たり前みたいな顔してる人がいるんで、『いや、お前が税金出さないためにアタシら迷惑するんだからな』って思うと、毎度のことながら頭に来ました」 かなえさんの職場では、パート主婦が多く働いている。 「週に1日しか来ない人もいれば、私みたいに子供に留守番させて社員並みに働いている人もいて、いろんな働き方ができる職場です」 かなえさんは美容系サロンで働いているという。正社員は少なく、パート従業員の層が厚いそうだ。 「シングルマザーは私以外にもいますが、ある人はお子さんが小さくて実家の協力を得て生活してるから、私みたいにガツガツ働いてはいません。親の扶養に入ってるんじゃないかな。働き方が選べるのは、女性にとって凄く重要なことだと思う」 職場の中で、夫の扶養内で仕事をしている人は、かなえさんの知る限り7名ほどいるのだそうで… 「お子さんが小さくて、なおかつ夫の収入が多くない人が、『税金なんて少しくらい出てもいいから、もっとバリバリ働きたい!』って言ってるのを聞くと、もどかしいだろうなと思う。その人の夫は稼ぎは少ないけど家事育児もやらないから、結局妻が早く帰らなきゃいけないんですよね」 このように、「希望に反して」生活のために扶養内で働いている人もいることはわかるが、子供も大きくなり、時間的にゆとりのある主婦パートが、年収の壁を越えないようにするために「年収調整」「シフト調整」することに腹が立つ、とかなえさん。 「個人的に嫌いなだけと言われればそうなんですけど、1人いるんです。『本当は働かなくてもいいんだけど、旅行の回数を増やしたいからパートしてる』って明言してる人が」 かなえさんをイラつかせるのは、パート歴7年ほどの主婦Aさん。 「Aさんは私と同じ45歳くらいだと思う。結婚が早かったらしくて、もうお子さんは2人とも独立しているんです。子育てが済んでて時間もたっぷりあるけど、『とにかく税金を払うのはイヤ』だと言っています」 つい先日、103万円の壁の引き上げが「123万円」になるかもしれないことが、職場で話題になった時のこと。 「休憩時間にバックヤードでAさんと2人になった時、間が持たなかったこともあって、『Aさんは103万円の壁が123万円の壁になったら、それに合わせてめいっぱいシフト入れますか?』って聞いたんです」 するとAさんは… 「『入れる入れる!123万円の壁に変わっても関係ない。税金出ないギリギリまで入れるよ!年収が20万増えれば、ディズニー1回増やせるじゃん』って答えたんです。能天気だなあと思ってイラっとしちゃいましたね」 労働して収入を得たら所得税を納めるのは当たり前のことだ、とかなえさん。シングル家庭で日々懸命に稼いでいるかなえさんにとって、遊ぶお金を稼いでいるAさんが税金を支払わないことに対し、ふと腹が立ったのだという。 しかし、Aはそのあとさらに挑発的な言葉でかなえさんの心をえぐり、虫の居所の悪かったかなえさんは、ついつい彼女に口論を仕掛ける。しかし、返り討ちにあったかなえさんは逆上してしまい…。職場の人間関係を凍らせた「2人の母の直接対決」については、記事後編にて詳述していく。 ※この記事は取材に基づいていますが、取材対象者保護の観点から必要に応じて編集を加えておりますことをご理解ください。 取材・文/中小林亜紀 PHOTO:Getty Images
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