ミチノクヒメユリ、化粧品に 鮭川村、4者連携し商品開発
鮭川村の花「ミチノクヒメユリ」の生産振興と商品開発に向け、村は5日、新庄神室産業高(新庄市)と化粧品原料メーカーのテクノーブル(大阪市)、村内の生産者団体の3者と連携協定を締結した。生産量の維持や拡大のための球根の保存や管理、花や新芽の化粧品への活用に関する研究を進め、新たな価値を見出し、村の花を守り、産業振興につなげる。 ミチノクヒメユリは朱色で星形の小ぶりな花をつけるのが特徴。1960~70年代に、切り花として村内での生産が盛んになった。年間約50万本の生産量を誇ったが、花が育たなくなるなどのウイルスがまん延し、村内では絶滅寸前となった。その後、生産者も減り続け、現在は村内には1人だけとなっている。 新庄神室産業高は、この生産者から花や球根の提供を受け、10年以上前から研究に取り組んでいる。球根や茎の組織を培養し、新たな球根を作ることに成功。乾燥した花びらから口紅を作るなど、利活用の研究にも取り組んでいる。
テクノーブルは2022年から同校と共同研究を始め、培養過程で発生する新芽に、ビタミンD同様に肌を守る成分などを持つ「ヒメリウム―SP―W」があることを発見。花には肌のくすみなどに効くポリフェノールが多く含まれていることも見つけた。 村は、村内で別の花(か)を栽培している生産者で設立された「Re:lium(リリウム) MICHINOKU(ミチノク)」も加え、4者による協力関係を築くため、今回の協定を結んだ。リリウムミチノクは球根の生産などが安定すれば、本格的な栽培に協力する。 村役場で行われた協定締結式で元木洋介村長は「新たな村の産業にしたい」とあいさつ。テクノーブルの沢木茂豊社長は「化粧品として商品を開発し、貢献したい」、リリウムミチノクの熊谷市夫代表は「長年、花に携わってきた経験を生かし、協力したい」と語った。同校3年斉藤由翔さん(18)は「ミチノクヒメユリをもっと広く、多くの人に知ってもらい」と語った。