【心療内科医がおすすめ】首から腹側迷走神経を刺激する「緊張感をゆるめるエクササイズ」
休んでも疲れが取れない、その理由はなんでしょうか。「日々の疲れが抜けない」 「ストレスを抱え苦しんでいる」「休職を考えている」「つらくて動けない」……。そんな人々を長年サポートしてきた鈴木裕介医師が【本当に心と体を回復させる】休み方を教えます。著書『心療内科医が教える本当の休み方』(アスコム)より、一部内容を抜粋してご紹介します。 <写真>【心療内科医がおすすめ】首から腹側迷走神経を刺激する「緊張感をゆるめるエクササイズ」 ■腹側迷走神経系を活性化させよう 簡単なエクササイズによって腹側迷走神経系の活性化を試みる方法をお伝えします。これは、世界的なボディセラピストであるスタンレー・ローゼンバーグが著書や動画で紹介している、もっとも基本的なエクササイズで、私も臨床でよく活用しています。慢性的な頭痛のある方にもおすすめです。 まず、頭と首の可動域や痛み、こわばりなどを確認します。頭を右に、気持ちよく動かせるだけ回したら、中央に戻し、いったん休んでから、左にぐるっと回し、 「左右それぞれにどのくらい回せるか」 「痛みやこわばりはないか」などを確認します。 また、エクササイズの前に水を一口飲み、飲み込んだ水の感覚を「どこまで追えるか」を確認してみてください。 のどの途中まででしょうか? 食道のあたりまででしょうか? 胃のあたりまで追えたでしょうか? それも覚えていてください。 次に、以下の手順に従って、エクササイズを行います。 ①左右の手の指を組みます。 仰向けで行うのが理想的ですが、椅子に座ったまま、もしくは立ったままでもかまいません。 ②手を後頭部の後ろに置きます。 指で頭の重さ、頭蓋骨の硬さを感じ、後頭部で指の骨を感じましょう。肩がこっていて、後頭部の後ろに両手を持っていけない場合は、片手の指と手のひらを後頭部の両側につけるだけで大丈夫です。 ③頭を固定したまま、目だけを動かして右を見ます。 ④目だけで右を見続けて30~60秒たつと、つばを飲み込みたくなったり、あくびが出たり、ため息が出たりします。 これは、体がリラックスし始めた合図です。なお、普通の呼吸と違い、体がリラックスして出るため息の場合、息を吸った後、吐く前に、二度目の吸気が続きます(普通の呼吸の場合は、息を吸った後、すぐに呼気が続きます) 。 ⑤目を中央に戻し、まっすぐ前を見ます。 ⑥頭を固定したまま、今度は目だけを動かして左を見ます。 ⑦つばを飲み込みたくなったり、あくびが出たり、ため息が出たりするまで、やはり左を見続けます。 以上がエクササイズの手順です。①~⑦までを行った後、再び頭と首の可動域や痛み、こわばりなどを確認してみましょう。 エクササイズを行う前と後で、変化はあったでしょうか?また、エクササイズの前後で、水を飲んだときにその感覚をどこまで追いかけられるかが変わったでしょうか?緊張がほぐれて、なめらかになった」とか「エクササイズの前は、水の感覚が食道くらいまでで消えてしまっていたけれど、エクササイズ後は、胃の下のほうまで追えた」という方が多いのですが、それは神経系が腹側モードに切り替わった合図といえます。 このエクササイズは、視線を動かすことで首の筋肉を軽く刺激し、腹側グループの一部である「副神経」という脳神経を活性化させ、そこから腹側系のシステム全体をアクティブにするアプローチであると考えられています。ぜひみなさんも試してみてください。 ■■この本の著者/鈴木裕介 内科医・心療内科医・産業医・公認心理師。一般社団法人高知医療再生機構にて医療広報や若手医療職のメンタルヘルス支援などに従事。2015年よりハイズ株式会社に参画、コンサルタントとして経営視点から医療現場の環境改善に従事。2018年、「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原saveクリニックを開院、院長に就任。主な著書に17万部を突破した『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム刊)がある。
ヨガジャーナルオンライン編集部