「米金融界の重鎮」が警鐘…市場関係者に衝撃を与えた「センセーショナルな発言」の中身!そして日本を待ち受ける「ヤバすぎる経済リスク」
スタグフレーションの恐れ
目下、大統領選直後のご祝儀相場で米国の株価は上がっているが、その先行きは明るくはない。 第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏は「トランプ氏は大幅な減税を表明しているので、その期待感からしばらくは株高が進むでしょう。しかし、ある政策が打ち出されれば一気に沈静化するのではないか」と予測する。 「その政策とは関税です。トランプ大統領は1期目の'18年3月に、中国に対する追加関税を打ち出しました。その結果、中国もアメリカの製品に関税をかける『報復関税』を実施し、世界経済が大きく低迷しました。 今回も中国や他の国々の製品に高い関税をかけるなら、前回以上の「関税戦争」が勃発し、すべての輸入商品の値段が上がることになるかもしれない。消費者の経済的負担が増えるため、アメリカの景気が大きく後退する恐れがあります」 前出の倉都氏は、トランプ政権下のアメリカで激しいインフレが進行し、経済が大混乱する可能性を指摘する。 「トランプ大統領は移民の規制強化を掲げていますが、本当に移民の流入を制限すれば、低賃金で働く労働力が不足するため、人件費をはじめとしたコストが上昇します。 さらに大減税を実施することで、長期的には税収が下がり、アメリカの財政赤字が拡大します。財政赤字はインフレを起こす要因となるので、アメリカが激しいインフレに見舞われるかもしれません。さらには景気が悪化する一方で物価が上昇するスタグフレーションに陥る危険性すらあるでしょう」
「トランプ後の経済リスク」
日本経済への影響も避けられない。『億までの人 億からの人』の著者で、ゴールドマン・サックスに17年勤務した田中渓氏は「日本人は更なるインフレに備えたほうがよい」と警鐘を鳴らす。 「アメリカでインフレが起これば、米FRBは金利を上げて激しいインフレを抑えようとします。すると、日本とアメリカの金利差が広がり、円を売ってドルが買われ、円安が進むことになります。 いま現在でも円安による物価高を実感している人は少なくないと思いますが、日本人はさらなる円安の進行と物価高に備える必要があるでしょう。 食料品や生活必需品はもちろんのこと、いま以上に日本に外国人観光客がやってくるので、今後はレジャー産業やエンターテインメント産業、外食の価格などが急激に上がっていく恐れがあります。現在でも一泊5万円のホテルや一杯2000円を超えるラーメンなど『外国人価格』のサービスが増えていますが、それが10万円や4000円になっていく。外国人が楽しむサービスと日本人が楽しむサービスの格差が広がっていくことになるでしょう」 アメリカの労働力不足と関税戦争によって、各国に激しいインフレの波が押し寄せる―これが比較的容易に見通せる「トランプ後の経済リスク」だ。だが、この程度で済めばまだマシだ。 はたして今後訪れると予測されている「未曽有の危機」とは――。つづく後編記事『「米金融界の重鎮」が予測するトランプ就任後の「破滅シナリオ」…「世界の主要都市のどこかで核が爆発する」そして金の価格は過去最高値を更新へ』では、世界秩序破壊の可能性を踏まえながら、これからの経済見通しについて詳報する。 「週刊現代」2024年11月30日号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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