「106万円の壁」見直しならどうなる? 手取りは、年金は……試算結果 新たに200万人が社会保険加入へ【#みんなのギモン】
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厚生労働省が「106万円の壁」の見直しに向け議論しています。週20時間以上働く人の社会保険加入を義務付けるもので、手取りや年金受給額にどう影響するか試算しました。心配なのは手取り減ですが、将来の年金の安定を考えるきっかけにもなりそうです。 そこで今回の#みんなのギモンでは、「106万円の壁 見直しでどうなる?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
■103万円だけじゃない…「壁」の中身
小野高弘・日本テレビ解説委員 「今、見直しが行われている年収の壁。103万円(所得税の負担発生)、106万円(51人以上の企業の社会保険料)、130万円(50人以下の企業の社会保険料)、150万円(配偶者特別控除の減少)といろいろありますが、今回は106万円の壁に注目します」 「皆さんの年金の話です。主にパート従業員など非正規雇用の労働者について、年収が106万円を超えると、勤務先の規模にもよりますが、その企業の社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられ、保険料を支払う必要が出てくるというものです」 「この106万円の壁をどうするか。15日も厚生労働省で審議会が行われていました」
■社会保険に加入すべき「3つの要件」
小野解説委員 「今の制度では学生以外のパートやアルバイトの人で、年収約106万円以上、従業員51人以上の企業、そして週20時間以上働いているという3つの要件に当てはまれば、社会保険に加入する義務が生まれ、健康保険と厚生年金の保険料を払わなければいけなくなります」 鈴江奈々アナウンサー 「『壁』と言われているだけあって、106万円にいかないように、社会保険料を払わないようにと意識している方々もいらっしゃるということですが、逆に超えるとどれぐらい引かれて手取りが減っていくのか気になりますよね」
■月収8万円と9万円…どう違う?
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小野解説委員 「3つの要件に当てはまるか当てはまらないかでどのぐらい手取りが違うか、単純計算してみました。会社員の夫の扶養家族になっているAさん。従業員80人の企業で週20時間以上のパートをしています。月々の給料は8万円で年収は96万円です」 「Aさんの場合は所得税は引かれず、106万円の壁に届いていないため、社会保険料は引かれません。仮に住民税などが引かれたとしても、手取りは96万円ぐらいからあまり変わりません」 「一方、同じ企業のBさんは少し働く時間が長く、月々の給料は9万円、年収は108万円です。106万円の壁を超えているので、3つの要件に当てはまり、夫の扶養から外れます」 「自分が働く会社の社会保険に加入が義務付けられ、健康保険と厚生年金の保険料は年間約15万円が天引きされます。ひと月の給料は9万円なので、その2か月分近くになります。他に税金なども引かれますが、手取りは約93万円になります」 「Aさんと比べると、Bさんの方が年収は高いのに手取りはAさんの方が高い。『だったら私もAさんの方がいい。年収は106万円を超えたくない。社会保険にも入りたくない』と、106万円の壁の前で立ち止まっている人は、実際に大勢います」