ヨーロッパ映画賞、「エミリア・ペレス」が5冠達成
スイス・ルツェルンで開催された第37回ヨーロッパ映画賞で、ジャック・オーディアール監督の「Emilia Perez」(読み:エミリア・ペレス)が作品賞を含む5部門を制覇した。監督賞、脚本賞、編集賞に加え、主演のカーラ・ソフィア・ガスコンが主演女優賞を受賞したと、米Indiewireが報じている。 「Emilia Perez」は、メキシコの麻薬組織のボスが性別適合手術を望み、女性として生きる決意をする異色の物語だ。クライム、ミュージカル、コメディという異なるジャンルを融合させた意欲作として、今年のカンヌ国際映画祭でも高い評価を受けた。オーディアール監督は「パリ13区」や「ディーパンの闘い」「預言者」で知られるフランスの巨匠で、本作で新境地を開拓した形となる。 授賞式では、イザベラ・ロッセリーニが世界映画賞を受賞。「教皇選挙」の共演者であるレイフ・ファインズがプレゼンターを務め、デビッド・リンチ作品での活躍や、短編シリーズ「イザベラ・ロッセリーニのグリーン・ポルノ」まで、彼女の多彩な功績を称えた。ロッセリーニは受賞スピーチで「この賞は私自身のものとして祝福できる特別な瞬間」と語った。 ドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダース監督には生涯功労賞が贈られた。マーティン・スコセッシはビデオメッセージで「彼の作品は私の心に永遠に焼き付く美しい絵画のよう」と称賛。最新作「PERFECT DAYS」の主演を務めた役所広司も、映画の制服姿でメッセージを寄せ、会場を沸かせた。ジュリエット・ビノシュは「あなたの映画は、迷子になることの素晴らしさを教えてくれる」と語り、「ベルリン・天使の詩」や「パリ、テキサス」など数々の名作を生み出してきた監督の功績を讃えた。 なお、ヨーロッパ映画賞(European Film Awards)は1988年に設立。ヨーロピアン・フィルム・アカデミーにより優秀なヨーロッパ映画・ヨーロッパを拠点とする俳優が表彰される。かつてはフェリックス・アワード(Felix Awards)という名前だった。