タンデム型太陽電池で発電効率27.9%…京大など、スズ含有ペロブスカイト半導体の界面構造制御法
京都大学の若宮淳志教授らは英オックスフォード大学、分子科学研究所、理化学研究所などとの共同研究で、スズを含むペロブスカイト半導体の界面構造制御法を開発した。アンモニウム基とカルボン酸基を分子内に併せ持つフェニルアラニンを添加剤に用い、スズを含む高品質なペロブスカイト半導体膜の作製を実現。この手法で得たペロブスカイト層を用い4接合型のペロブスカイトタンデム型太陽電池デバイスを作製し、4・94ボルトの高い開放電圧と27・9%の光電変換特性が得られた。 研究成果は英科学誌ネイチャー電子版に23日掲載された。成果は京大発ベンチャーのエネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)にも技術移転し、高性能ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた開発研究を展開予定。 今回の手法で得られたスズを含む高品質なペロブスカイト層を用いて単接合セル、2接合型タンデムセル、3接合型タンデムセルのデバイスをそれぞれ作製。単接合セルでは0・91ボルトの開放電圧と23・9%の光電変換効率、2接合セルでは2・22ボルトの開放電圧と29・7%の光電変換効率、3接合セルでは3・46ボルトの開放電圧と28・7%の光電変換効率が得られた。また実用性を見据えた1平方センチメートルサイズの3接合デバイスでも、2接合セルに匹敵する28・4%の光電変換効率が得られた。