猛暑にピッタリの涼感メニュー! 長野県北部に伝わるひんやり美味しい郷土料理「やたら」とは?
●長野県北部の飯綱町で江戸時代から受け継がれてきた謎の料理「やたら」。猛暑にピッタリなひんやり美味しい郷土料理の魅力とは? 珍食材に精通するライター・ムシモアゼルギリコがレポートします!
ここ最近ご縁があり、自然観察にたびたび足を運んでいるのが、長野県北部の飯綱町(いいづなまち)。寒暖の差が大きくりんご栽培に適しているとされ、りんごの名産地としても知られる土地です。 飯綱町ののどかな田園風景の画像を見る 今年の夏は「地球温暖化」を通り越し「沸騰化」なんてネーミングがすっかり定着した猛暑でしたが、飯綱町の朝夕はひんやり肌寒さを感じるほどの過ごしやすさ。涼しい空気が心地よくなってくる夕方に辛口シードルを楽しんでいると、「猛暑の東京に帰りたくないぃ……!」という魂の叫びしか湧き上がってきません。
昨年、飯綱町に訪れたときのこと。お世話になっている古民家カフェに飯綱町の郷土料理を聞いてみると、「やたら」なる聞き慣れない料理名が返ってきました。 聞けば、「やたら」とは大根の味噌漬けと夏野菜を刻んだ料理とのこと。具材を「やたら」刻むとか「やたら」うまいというのが語源だそう。山形の「だし」とそっくりですが、大根の味噌漬けや信州野菜を使うのが特色でしょうか。飯綱町を中心に、北信地域で江戸時代から受け継がれてきたとされる郷土料理です。
今年3月には、この「やたら」が文化庁の「100年フード」(※)に認定されたというニュースもありました。早速作ってもらいそうめんの具として食べてみると、シャクシャクポリポリ、食感の楽しさがたまらない! (※)「日本の多様な食文化を守ること」を目的に、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を継承していくことを目指すという、文化庁の取り組み。 そして今年訪れたタイミングでは、飯綱町で毎年恒例だという「信州・飯綱町やたら祭り」が行われていました。古民家からの帰り、たまたま立ち寄った蕎麦屋『そば処 よこ亭』でも開催中。迷いなく、注文!です。
歯ごたえのしっかりした香り髙いそばの上に、「やたら」がどっさり盛られています。キュウリとナス、ミョウガの爽やかさ、時々、しっかりした歯ごたえの大根味噌漬けがアクセント。朝夕は涼しくても日中はそこそこの暑さになったので、体をひんやり整えてくれる、最高の夏ごはんでした。 「やたら」は刻む野菜も食べ方も、家庭ごとにそれぞれ違うのだとか。食べ方も、豆腐にのせたり、ごはんにのせたり。もとは農作業の合間にササっと作って食べられるようにと、こうした料理が生まれたそう。これは自宅でもマネしたいなと、農産物直売所で信州野菜の「ボタンコショウ」を買い求め、帰路につきました。 ちなみに「ボタンコショウ」はピーマンによく似た形のトウガラシです。昨年は、古民家の畑でピーマンと間違えて収穫し、皆で肉詰めを作って食べてしまって大騒ぎ(特に子どもが)。えらい目にあいました……。