多部未華子さん「明日やろうはバカやろう、って言うけど…別にいいんじゃないかなって」自分らしい“感情”との付き合い方
使わないキャンドルを旅先に持っていく“シンパイ”ぶり
多部さん演じる〈シンパイ〉は、常に先回りして悪いことが起きる可能性を考え、まだ起きていないことに備えようとします。生きていく上では大切な感情ですが、暴走するとやっかいなことに。多部さんは日々の暮らしの中で、〈シンパイ〉が前面に出てくるような瞬間はあるのでしょうか。 多部「旅行に行くときは“何かあったときのために、これも一応持っていくか”とついシンパイになって、荷物がすごく多くなるタイプです。たとえば、宿泊先の部屋の匂いが自分に合わなかったらどうしよう、と考えて、重たいアロマキャンドルを持っていったことも。結局、使わなかったんですけど(笑)。 暮らしの小さなあれこれには、ついいろいろとシンパイしてしまいますが、仕事や人生については、あまり先回りして考えるタイプではないですね」 声優に加えてナレーションなど、声のお仕事も増えている多部さん。これからやってみたいお仕事などは? 多部「声のお仕事は、とても難しいけれどやりがいがあります。映像の仕事とはまったく別物ですね。まだまだ学び途中ですが、お話をいただけたら、一生懸命に取り組もうと思います」 と答えたあとで「あ、でもせっかくだからやりたい仕事を言おうかな! 口に出せば、叶うかもしれないから」と笑顔に。 多部「美術館の音声ガイドをやりたいです。子どもが生まれてからは、なかなか行けなくなってしまったけど、もともと美術館に行くのが大好きなんです。特にフェルメールが好きなんですが、他にもいろんな展示をめぐりながら、作品解説を聴くのがいつも楽しみで。いつか私も挑戦してみたいです!」
予定を詰め込みすぎた結果〈ダリィ〉が登場!
大人ならではの複雑な感情がたくさん登場する本作ですが、多部さんの頭の中には、どんな感情が一番よく出てきますか?と聞くと、「……うーん、ダリィかな」との回答。 〈ダリィ〉(声:坂本真綾さん)は、退屈で無気力な感情ですが……? 多部「ダリィは常に私の中にいますね(笑)。私、ほんとは家でじっとしていたいタイプなのに、好奇心も強いので行きたいところが多すぎて、つい予定を詰め込んでしまって。あれもこれもと予定を入れた結果、“入れすぎたな……。やっぱり家にいたい”と面倒になっちゃうんです。結果、行ったら楽しいんですけど(笑)」 仕事にプライベートにと忙しい毎日を送る読者のみなさんにも、きっと共感できるエピソードではないでしょうか。 毎日の暮らしにも、面倒なことはたくさんあるもの。頭の中をダリィに占拠され、やる気がなくなってしまったら、どんなふうに切り替えるべき? 多部「どう切り替えるか、そうだな……。 たとえば“明日やろうはバカやろう”という言葉がありますよね。でも、私、それなら別に“バカ”でもいいや、って思うんです。本当に疲れてやる気がなくなってしまったときは、“明日できることは明日やろう”でいいし、やりたいと思ったときにやればいい」 多部「“明日やろうはバカやろう”は、明日何が起きるかわからないから、後悔しないためにも今日やれることは明日に引き延ばすな、という意味。 たしかに、明日何が起きるかは誰にもわからない。でも、きっと明日もちゃんと“今日の続き”ができると信じて、今日はだるいからもうおしまい、明日頑張ろう、と思う日があってもいいんじゃない?と思うんですよね。 それに、こんなに猛暑日が続くなかで働いたり生活したりしているだけで、私たち、もう十分に頑張っていますよ!」 と、元気が湧いてくるような言葉をくれた多部さん。飾らず正直に答えてくださる様子に、インタビュアーも取材スタッフも、みな心を掴まれていました。 カラフルな映像世界が楽しく、そして深いメッセージに大人もきっと涙してしまう『インサイド・ヘッド2』。ぜひこの夏、映画館に足を運んでみてください。 撮影/玉井美世子