高橋ヒロム FM802も認めたまっすぐな音楽愛!神と崇めるアーティストに「実は最近、告白したんです」
【「ききみみ 音楽ハンター」特別編/FM802×新日本プロレス(4)】業界の雄・FM802が、レギュラーDJとして採用を決めた新日本プロレスの高橋ヒロム(35)。異例の現役レスラー抜てきの裏に彼の音楽愛があったことは、初回に紹介した。今回、本人への取材で、音楽に彩られてきた人生が明かされた。 新日本の選手は一年中全国を転戦。つかの間の休日、ヒロムはライブに足を運ぶ。802の岩尾知明専務は「つい最近も自分でチケット取って、(兵庫県)姫路まで見に行ってましたよ」と彼のフットワークの軽さに驚きを込めた。 「本当にスキ見て行く感じ。それでも年間10公演くらい?月イチは行きたいんですけど」とヒロム。昨年末にDJ、選手として初日に参加した802主催フェス「RADIO CRAZY」(以下レディクレ)では、翌日も残ってライブを堪能し、「この時間は幸せでしかない」と無邪気に笑った。 移動やトレーニング中も音楽を聴く。二大神アーティストは「CHAGE and ASKA」と「マキシマム ザ ホルモン」(以下ホルモン)。2組の楽曲をセレクトした自作プレイリスト「チャゲアス ザ ホルモン」などを聴き、リラックスするという。 そして、まさかのギターを3本も所有する。アコギ1本にエレキ2本。なんでも不定期にギターブームが来るらしい。最初は中学1年のとき。「レスラーになると決めたのが中1の8月。その前にチャゲアスに出会って、俺も音楽目指そうとアコギ買って。練習したけど…ダメでした」。 第2期ブームはヤングライオン時代。デビューして久々に外出が許されフェスへ。ホルモンのステージに感化され「またやるぞ!と今度はエレキ。いいやつ買おうとして店員さんに止められて、初心者用にしました。でもまた1週間で無理だ!って」。数年前にも新たなエレキを迎えたが多忙で断念。「謎に毎回わざわざ買って、毎回挫折するんです」と苦笑いした。 彼のように音楽好きのレスラーも多ければ、プロレス好きのミュージシャンも多い。体を張った全力プレーで観客に魂のエンタメを提供する点では、互いに学びと共感があるのかもしれない。ヒロムもプロレス好きアーティストと共演を重ね、レディクレ会場でも交流。音楽界にも人脈を広げている。 神と崇めるホルモンとも出会えた。2018年、試合中に頸椎(けいつい)骨折の重傷を負った。入院中、プロレスファンで同じく首のヘルニアに苦しんでいたホルモンのダイスケはんが、共通の知人と見舞いに来てくれ、初対面を果たした。22年には、米遠征中にホテルでホルモンのグッズを含めた荷物をごっそり盗まれた。だが、その事実を知ったマキシマムザ亮君から、廃盤となった同グッスの私物が届き、感激した。 悲劇の渦中に救いをくれたまさに“神”だった。「マイナスがプラスになった瞬間。どっちも良くない事なんだけど骨折って良かったな、盗まれてよかったなとさえ思えました」。 プロレスは音楽と切っても切れない。入場曲は各選手の個性やイメージを植え付け、試合前の大きな見せ場を演出する。ヒロムは「実は最近、ある人に告白したんです」と切り出した。 「マキシマムザ亮君に、いつの日か入場曲を作っていただけないですか、と。その答えは明かさずにおきます。お願いしないで死ぬなら、お願いして死にたいと思った。結果がどうあれ、言いたいことを言えたので満足です。かなうのであれば、とは思ってますけど」 802の岩尾氏は、後輩たちに「好きこそものの上手なれ」と伝えてきた。ヒロムについても、その音楽への情熱に番組の成功を信じた。確かに彼のプロレスや音楽に対しての積極性とその成果に教えられる。「好き」という原動力に勝るものはない、と。 特集最終回となる次回は高橋ヒロムがDJ、そして本業での今後を語る。(萩原 可奈)