過去に死者出た事故も 北アルプス白馬大雪渓で岩盤崩落 長さ5メートル超の巨岩も確認 専門家は落石への注意呼びかけ
雪渓上に岩石の黒い帯
北アルプスの白馬大雪渓で比較的大きな岩盤崩落が起きていたことが4日までに分かった。崩落は3号雪渓の上部で発生し、雪渓本流に流れ出た大量の岩石が雪上で黒い帯となっている。大雪渓ではこれまでも岩盤や土砂の崩落、落石に伴う事故が発生している。山岳域ではこれから雪解けが進むことから、山岳関係者は注意が必要と指摘している。 【地図】岩盤崩落が起きた白馬大雪渓
大学教授、衛星画像で分析し確認
岩盤崩落が起きた3号雪渓は大雪渓の中ほどで北側から本流に合流している。新潟大学(本部・新潟市)の奈良間千之教授(自然地理学)が人工衛星からの画像を分析したところ、3号雪渓の上部から崩れ落ちた岩石が雪渓本流の下方まで流れ下った様子が写っていた。全体の長さは約900メートル、幅は広い所で40メートルほど。発生時期は5月10日以前とみられる。
現場で状況を確認すると、数センチ角から数十センチ角の岩石が雪渓を広く覆い、末端部分では本流の中央付近まで達している。流れ下った岩石の中には長さが5メートルを超えるものもある。 奈良間教授によると、3号雪渓の急傾斜地で止まっている岩石は今後の融雪によって落ちてくる恐れがあることから注意が必要という。奈良間研究室は6月上旬にも現地を訪れ、崩落の状況や岩石量などを調べる予定だ。
長野県警、登山者に注意呼びかけ
長野県警山岳安全対策課はホームページなどを通じて登山者に注意を呼びかけることにしている。
付近では頻繁に落石発生 18、19年にも岩盤崩落
白馬大雪渓の上部では2005年8月、南側の天狗菱(てんぐびし)方面から土砂崩落が発生して登山者2人が死傷。この付近では現在も頻繁に落石が発生している。また、奈良間教授によると、3号雪渓より上部の2号雪渓でも18、19年に岩盤崩落が起きている。