神宮球場でバイトもしてた“無名学生”がまさかのドラ3指名「ヤクルトの選手になれるとは…」野村克也監督「おい、度会!」運命を変えたノムさんのひと言
駅のホームで野村監督が…
その後出場した阪神戦では相手選手と交錯し、左足首の状態はさらに悪化した。試合を終えて帰京する新大阪駅の新幹線のホーム。向こうから野村監督が近づいてきた。 「おい、度会」 苦い表情だった。隠してきた怪我がバレたのだろうか。しがみついてきたチャンスもこれまでか、という思いがよぎった。その時、指揮官が、静かな声で語り出した。 「足を痛めてるのは分かってんだ。痛いと言えば外されると思って黙ってるんだろう。その気持ちは俺も分かる。でもな、俺は絶対に外さないから。心配するなよ」 ニヤリと笑い、こう続けた。 「全治1分でケガを直せよ」
「涙が出そうに…」
野村監督自身も、1954年にテスト生として南海に入団し、血の滲むような努力で一軍に這い上がった努力の人だ。掴んだチャンスを手放すまいと痛みを隠す若者の姿は、かつての自分に重なったのだろう。 「その言葉を聞いて、涙が出そうになりました。いつ二軍に落とされるんだろうとヒヤヒヤしていた分、ホッとしたし嬉しかった。新大阪駅のあのやり取りは、今も忘れられないです」 度会さんの熱い思いが結実したのは、それから数日後のことだ。〈後編に続く〉
(「プロ野球PRESS」佐藤春佳 = 文)
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