トランプ再選で「台湾軽視」加速? 日本企業3000社以上進出、有事リスクをどう捉えるべきか
軍事演習が映す台湾の危機感
このように、進出拡大や規模縮小などさまざまな事情はあるにせよ、3000社を超える日本企業が台湾でビジネスを展開しているが、台湾情勢への懸念は日に日に日本企業の間で広がっている。 台湾では5月、蔡英文前政権で副総統を務めた頼清徳氏が新たに総統に就任したが、中国は頼氏が属する民進党を台湾独立勢力として敵視している。頼氏は5月の就任演説で、 「中国と台湾は互いに隷属しない」 と主張したが、その直後から中国人民解放軍で台湾海峡を管轄する東部戦区は2日間にわたり、台湾本島の北部や東部、南部の海域、金門島や馬祖島などの台湾離島で大規模な軍事演習を実施し、打撃訓練や実戦訓練などが行われた。 台湾本島を包囲するような軍事演習は、2022年8月に当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問した時にも行われたが、その際は弾道ミサイルも発射され、その一部は日本の排他的経済水域にも落下し、大きな波紋を呼んだ。
頼総統の強硬発言と中国反応
また、頼総統は10月、台湾では建国記念日と位置付けられる双十節の式典で演説し、 「北京政府には台湾を代表するような権利は一切なく、台湾は国家主権を堅持して一方的な併合などを許さない」 と主張し、5月の就任演説で言及した 「台湾と中国は隷属しない」 とのメッセージを繰り返した。それによって、東部戦区は台湾本土を取り囲むような形で大規模な軍事演習を再び実施し、軍事演習には陸海空軍やロケット軍に加え、中国海警局も参加し、海上封鎖や実戦を想定した訓練などを実施され、中国海軍の空母も台湾の東側海域での演習に参加した。 今回の軍事演習には戦闘機やドローン、ヘリコプターなど125機、艦船34隻が参加し、1日の規模としてはこれまでで最大となった。頼総統は、 「中国は10月1日で国家として75歳の誕生日を迎えたばかりだが、台湾はその数日後に113歳の誕生日を迎える」 などとも発言しており、頼政権下の中台関係の行方が非常に懸念される。