「プロレスは見たこともなかった」29歳グラビアアイドルが異色の《新人女子レスラー》となった「驚きの理由」
何度も受け身を繰り返し、技をかけ合う
9月末にあったDVDの撮影のために体を絞ったが、体重が減ってしまえばそのぶんケガの可能性が高くなる。いまはデビュー戦に向け、体重を戻している最中だ。激しい練習を重ねる中、短い期間で体重を増やすことは大変なように思えるが、そこはさすがグラビアアイドル。体重のコントロールは得意だという。 「これまでの自分の経験をもとに、食べる量と運動の量のバランスを考えながら調整しています。むしろ、気を付けているのはケガのほうですね。右肩の脱臼癖があるので、カバーするために鍛えていますし、整体に通って定期的に体のメンテナンスを行っています」 プロレスの技は、一歩間違えれば大ケガを負う危険なものも多い。技の受け方、かけ方をきちんと学び、身につけなければ生命に関わる。だからこそ、練習は真剣そのもの。今回取材に訪れた練習場にも、終始張り詰めた空気が漂っていた。 リングで何度も受け身を繰り返し、組み合って技をかけ合い、指導を受けては反復する。限られた時間の中で、選手たちは懸命に練習に励み、鍛錬を続けている。咲村も頬を紅潮させ、ぜえぜえと息を切らしながら、納得がいくまで幾度も技に取り組んでいた。 「大きい技も多いので、ちゃんと噛み合わないと大変なことになりますからね。プロレスは、相手のやりたいことと自分のやりたいことをどちらも出していって、その上で勝ち負けをつくっていく格闘技。 これまで剣道や水泳などたくさんのスポーツを経験してきましたが、他に同じものはないと思う。相手とぶつかり合うコンタクトスポーツならではの面白さ、難しさを感じています」
尊敬する先輩たちと猛特訓
技をかけ合いながら自分が輝き、相手も輝かせる。これがプロレスの大きな魅力だが、それには高度な技術が必要になる。そんな中、技の魅せ方も、相手へのケアも、強さもすべてがトップレベルだと咲村が絶賛するのが、マリーゴールドの先輩・MIRAI選手だ。 「変なダメージを与えることなく、こちらの良さを引き出してくれるんです。教え方もとても上手で、感覚的なものをわかりやすく言葉にして伝えてくれる。でも、本気で闘ったらとても太刀打ちできない。本当に強くて、憧れの選手です。 同じく、マリーゴールドの高橋奈七永さんも尊敬してやまない選手。全日本女子プロレス時代から活躍する大先輩で、目指していきたいプロレスラーの一人です。マリーゴールドではないためお会いしたことはないのですが、活動の幅の広さという面では、ウナギ・サヤカさん(フリー)。私もいろいろな活動をしているので、参考になることがたくさんあります」 (撮影/吉場正和) ………… 【つづきを読む】『「アイドルにプロレスができるのか」批判にも「絶対辞めないから、覚悟して来いよ!」…29歳グラドルが異色の《女子レスラー》になるまで』
井上 華織(フリーライター)