ソニーがデザインしたリアルとバーチャルの融合。ロンドンでも話題となったアート作品が札幌で初披露
根底にあるテーマはリアルとバーチャルの融合
「没入型の空間演出を通じて、すべての来場者に特別でパーソナルな没入体験を提供」することを狙ったというこの体験、作ったのはソニーグループ株式会社(以下、ソニー)のデザイン部門であるクリエイティブセンターだ。 「根底にあるのはリアルとバーチャルの融合というテーマです。我々はメタバース関係のプロジェクトなども多く手掛けており、リアルとバーチャルの融合というのが非常に身近なテーマとなってきています。この領域で、ソニーはディスプレイとセンシングをキーのテクノロジーとしています。その技術をアートとテクノロジーの融合を通して形にしたのがINTO SIGHTになります。」そう語るのはクリエイティブセンター長の石井大輔氏。 作品名の「INTO SIGHT」は、「ひらめきによって新しい価値観を得るという意味のInsight(洞察)と、新しい視覚体験に足を踏み入れる”Into Sight”」の2つの意味を掛けたという。 テクノロジスト、インタラクションデザイナー、コミュニケーションデザイナー、コンテンツクリエーター、アートディレクター、CGI (Computer Generated Imagery)スペシャリスト、サウンドデザイナー、プロデューサー、PRスペシャリストで構成される多様な専門性をもったチームを編成し、およそ半年がかりで制作したという。 制作をリードしたのはデザイン テクノロジスト、大木 嘉人氏。 「今まで映画のバーチャルプロダクションやサイネージでしか使われていなかったSONYのCrystal LEDをインスタレーションに使ってみたいと思い、そこに、センシングの技術を組み合わせることで、人々が中に入って心地よく楽しめるプラットフォームをつくろう、という考えになりました。最初はレゴの人形を置いた小さい模型を作って、奥にパソコンのディスプレイを置いて、コンテンツとして魅力が出るのはどんなものかを試行錯誤しました」と言う。
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