中国産シリコン価格、汎用品など一段安。アルミ向けなど需要低迷
中国産金属シリコン価格が再び下落している。太陽光発電向けポリシリコン需要は堅調ながらも、アルミ合金添加や有機シリコン向けの低迷でユーザー側の購買意欲は盛り上がりを欠く。このような中、投機筋の買い支えが限界となり、3月下旬から4月にかけて汎用品などは200ドル前後下落した。 足元の輸出向け価格(FOB)は、「2202」がトン当たり2500~2600ドル(1月中旬比50ドル安)、「3303」が2020~2070ドル(同180~190ドル安)、「441」が1960~2千ドル(同210ドル安)、「553」が1880~1930ドル(同180~200ドル安)。 シリコン相場は1月から3月半ばまで、下げ幅が数十ドル程度に収まるなど同値圏で推移。「在庫が豊富な割に下げ幅は小さかった」(非鉄専門商社タックトレーディングの上島隆会長)が、3月下旬から相場は下落に転じた。 今年のシリコン生産量は1~3月累計が104万8千トン(前年同期比14万6千トン増)。年間で419万トンペースだが、「2~3月は冬場の電力制限や渇水期で生産が伸びにくい。4月には大手メーカーが大増産に踏み切るという声も聞こえている」(同)とし、生産量は足元より増加方向に振れる可能性が高い。 一方で需要は半導体や太陽光パネル向けのポリシリコンは好調だが、アルミ合金添加や有機シリコン向けは低調で買い意欲は落ち込んでいる。年間需要量もマーケット予想の390万トン(前年は315万トン)に届くかは不透明な状況となっている。 そのような環境下、3月半ばまで相場が落ち着いていたのは「ポリシリコン需要の伸びによる相場上昇を見込んだ仕手筋が先物市場で買い支えていたため。しかしながらポリシリコン以外の需要が振るわず、ここにきて200ドル程度の下落になったと思われる」(同)と指摘する。その上で「今後、仕手筋の買い支えは増えるとは思えず、損切りに踏み切ったら実需低迷と相まって暴落するリスクもある」とし、目先も需要好転や協調減産などがなければ採算ラインまでジリ安となる可能性が高い。