オプショントレーダー、変動率拡大に賭ける-主要中銀の政策決定控え
(ブルームバーグ): 3つの中央銀行による金利決定を向こう数週間に控える中、オプショントレーダーは取引の夏枯れ前にボラティリティーが再び拡大することに賭けている。
通貨について見てみよう。6日の欧州中央銀行(ECB)、12日の米金融当局の政策決定を前に、オプショントレーダーはユーロに対しこの4週間で最も弱気だ。2週間物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は約1カ月ぶりの高水準に上昇し、実現ボラティリティーが5月29日、約2カ月ぶりの水準に低下する中でユーロ・ドルのオプションは4月上旬以来最も割高な水準にある。
通貨オプション指標の一つで、ドル・円のスポット価格が大きく変動する可能性を示すバタフライ(2週間物10デルタ)は3週間ぶりの高水準に上昇した。これは日本銀行が13、14日開く金融政策決定会合の期間をカバーする。
ECBは今週の会合で利下げが見込まれているが、インフレ高止まりでその後の動きがますます見通しにくくなっている。一方、米金融当局は金利据え置きが予想されており、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長発言から今後の利下げについて手がかりが得られるとトレーダーはみている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のチーフグローバル・デリバティブ(金融派生商品)ストラテジスト、タンビル・サンドゥー氏は「異なる種類の緩和サイクルだ」とし、「ECBは6月利下げをほぼ決めているとみられるが、その先はかなりデータに左右される。もし重要データ発表の間にレンジ相場となるなら、ボラティリティーは低下するかもしれない」と論じた。
米国株オプション市場では、7日の雇用統計発表から注目度の高い消費者物価指数(CPI)公表と米金融政策決定が行われる12日まで、一連のイベントに対するIV上昇を既に織り込んでいる。後者については、金利据え置きが市場でほぼ織り込み済みのため、影響は比較的小さいかもしれない。ただその直後に、市場を動かすと考えられる30年債入札が実施される。