日本の大企業も広告出稿!日本人が知らない「在住外国人向けメディア」調べてわかった奥深い世界
そう話すのは「アルテルナチーバ」を運営する日伯友愛の代表取締役、田井博基リカルドさんだ。いま日本に住むブラジル人の多くは日系人だが、田井さんもやはり日系2世だ。 2001年に創刊して以来なんと580号以上をつくってきたが、大事にしてきたのはまず外国人が日本で暮らすうえで必要な情報をしっかり掲載すること。 「例えばマイナンバーが始まったときは制度について記事をつくりました。日本人でもわかりにくい部分があったので、外国人はもっとわからないんですよ。だから細かいところまで説明したんです」(田井さん)
コロナのときは感染対策やワクチンについて毎号毎号ページを割き、また入管法の改正などビザ関連のニュースも追う。外国人労働者の増加や、ミス日本に外国ルーツのモデルが選ばれたことなど、外国人関連の出来事について読者の意見を掲載したリ、社説で論じたりもする。 印象的なのは広告の数々だ。ブラジル食材のスーパーマーケットやレストラン、ビザの手続きを代行する行政書士、翻訳会社、自動車保険、健康食品、美容整形、ポルトガル語の通じる歯医者、リサイクルショップ……実に多様な会社が広告を出していて、ブラジル人が日本でどんなサービスを必要としているのか、生活がよく見えてくるし、なにより彼らを取り巻く「経済」が手に取るようにわかる。
なにせ日本に暮らすブラジル人はおよそ21万人、日本国籍を取得した人を含めると25万人ほどのマーケットを「アルテルナチーバ」は持っている。そこをターゲットに出稿しようという企業によって雑誌は成り立っている。ブラジル人が起業した会社もたくさんあるし、日本の企業も並ぶ。 「いままでにJALやソニー、東芝といった企業に広告を出していただいたこともあります。広告代理店ともお付き合いしていますしね」(田井さん)
ほかにも日本の企業でいえば、クレジットカード会社や不動産関連、さらには宝くじの広告が掲載されることもある。 「うちの広告には人生すべてがあるって、よく冗談で言うんです。結婚するときのパーティー会場からケーキの手配、ブラジル人学校、それに離婚でもめたときの弁護士まで」(田井さん) これまで日系企業、ブラジル人の企業、計4000社が広告出稿したというが、それだけの広告効果が「アルテルナチーバ」にはあると考えられているのだ。