【ニュージーランド】三菱電機、NZの宇宙技術新興企業に出資
三菱電機はこのほど、宇宙向け超伝導技術を開発するニュージーランド(NZ)発のスタートアップ企業、ゼノー・アストロノーティクス(Zenno Astronautics)に出資したと発表した。人工衛星の運用で必要不可欠な姿勢制御技術において、ゼノーの装置を同社の衛星に適用することを見据えた技術検討や評価を進め、宇宙事業の競争力強化を目指す。 姿勢制御は、人工衛星の姿勢を変更・保持することによって、通信アンテナやカメラ、センサーの位置調整などを行い、通信や観測、データ収集などのミッションを成功させる重要な役割を果たす。人工衛星は小型化や低価格化が進む中、打ち上げ数が急激に増加しており、姿勢制御技術の重要性が高まっている。 ゼノーは、超伝導技術の活用によりエネルギー損失が少なく、磁場を効率よく発生させることが可能な革新的な人工衛星の姿勢制御装置を開発している。従来に比べて小型であることに加えて、少ない消費電力で高効率なトルク生成を可能にするなどの強みがある。 三菱電機の武田聡最高デジタル責任者(CDO)は声明で、「革新的な宇宙での超伝導技術を活用することで、当社の宇宙事業における競争力を高めることができると確信している」と期待感を示した。 ゼノーの共同創業者であるArshavsky最高経営責任者(CEO)は、「日本の宇宙技術開発のパイオニアである三菱電機とのパートナーシップに大きな可能性を感じている」とコメントした。 ■日NZの航空宇宙協力が深化 航空宇宙分野における日本とNZの協力は、今年ますます深化している。 岡山県倉敷市で11月17~19日に行われた第50回日本NZ経済人会議では、宇宙データ等の活用による生産性の向上や効率的な管理など新たな連携分野が提示されていた。 また衛星の開発・運用やソリューション提供を手がけるシンスペクティブ(Synspective、東京都江東区)は今年6月、NZで創業した米国の航空宇宙企業ロケットラボと、NZで衛星10機を打ち上げることで合意。当時訪日中だったNZのラクソン首相は「NZの宇宙産業で最大の契約だ」と評価していた。